皆さんは、悩み事がある時、
どんな人に相談したいと思いますか?
同じ悩みを持って、それを克服した人。
その悩み事について、経験が豊富な人。
自分に深く共感してくれる人。
そんな人に相談するのではないですか?
それでは、皆さんは、願い事がある時、
どの神様に祈りますか?
「受験の時は、学問の神様・菅原道真公に」
「縁結びをお願いしたいときは、出雲大社」
でも、なぜ、菅原道真公が学問の神様なのか、
なぜ、出雲大社が縁結びの神社なのか、
ご存知ですか?
当然、その理由があるんです。
菅原道真公は、藤原氏が幅を利かせる世にあって、
右大臣まで上り詰めた、超秀才でした。
出雲大社の御祭神である大国主命は、モテる神様で、
ライバルを蹴散らして、八上姫を射止めました。
神様のエピソードを知ったら、
あなたの祈りは、もっと深みを増すと思いませんか?
なんてことで、神話に登場する神様のエピソードを、
2週間に一度、メルマガにて紹介しておりました。
興味を持たれた方はバックナンバーをどうぞ↓
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 日本神話の恋と友情 ★☆★ ★☆★ あなたの願いを叶えてくれる神様 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ───────────────────────── ▼第1号2005年6月13日発行 ※ 発行部数?部 ───────────────────────── はじめまして。 皆さんはどんなとき、神社に参拝されますか? 最近では、「大地のパワーを頂くため」とお答えになる方が多いかと思いますが、 まずは、「願い事がある時」ではないでしょうか? ・・・もちろん、初詣や、七五三で参られることが一番多いでしょうけどね(^^ゞ 私は、現在神社紹介サイトを運営しています。 すると、月に一度くらいのペースで、 「復縁に効く神社はどこですか?」 「宝くじにあたる神社はどこですか?」 などという質問をいただきます。 が、ちょっと待ってください。 確かに、「京都の地主神社が恋愛成就で有名」とか、「貴船神社は呪いの藁人形 の発祥の地として有名」とか、 神社によって、それぞれ、ご霊験を謳っておられます。 しかし、あなたは神社に祈るのですか? あなたが祈るのは、そこに祭られている神様に対してではないのですか? 日本神話には個性的な神々がたくさん登場します。 その神々のエピソードを知ることで、深く共感できる神様が一柱・二柱おられる ことでしょう。 私が最初に「神頼み」をしたのは、ペットのハムスターが病気をした時でした。 難病と言われ、自分の力ではもうどうしようもなくなったので、 「鼠とご縁の深い神様(大国主命は、野原で火事に遭遇した時、鼠に命を助けら れています)」 である、大国主命をお祭する神社に参拝したのでした。 その後、ハムスターの病気は快方に向かい、彼女は2歳まで生きました。 彼女の娘・息子も、2歳半と、ドワーフハムスターにしては長寿でした。 さて。 あなたは、共感できる神にお願い事をしたいですか? それとも、どんな神様か知らないけれど、「霊験がある」という噂のある神様に 願い事をしたいですか? もし、「共感できる神様はおられないかな?」と興味を持たれた方がおられたら、 お手伝いいたします。 今日から二週間に一度。 日本神話の中から、様々な神様のエピソードに、その神様が祀られた神社、もし くはご縁の深い神社も合わせて紹介いたします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○ 第一号 活目入彦王と狭穂姫 活目入彦王は、狭穂姫をとても寵愛なさっておられました。 しかし、狭穂姫には仲の良い兄・狭穂彦がおり、兄は活目入彦王をよく思っていま せんでした。 「妹が寵愛を受けている今がチャンス」 狭穂彦は、妹に「活目入彦王を殺せ」と言い募ります。 「今は寵愛を受けているかもしれないが、愛は冷めるものだ。今のうちに王を殺し て、私達が天下を取るのだ。今しかチャンスはないぞ」 もし狭穂姫が兄より夫を大切に思っていれば、きっぱり断ることが出来たでしょう。 しかし、狭穂姫は、夫と同じぐらい兄を愛していたのでした。 狭穂姫は悩み、そして、夫を殺す決心をしてしまうのです。 ある日、活目入彦王が姫の膝の上で午睡を取っている時、狭穂姫は夫の胸に刀を振 りかざします。 しかし、人を殺すには、生半可な決心では叶いません。 案の定、刀を持つ手に力が入らず、知らずに目から零れ落ちた涙は夫の白く秀でた 額を濡らしました。 目を覚ました活目入彦王は全てを悟ります。 が、彼は愛する妻を責めたりはしませんでした。 「蛇が絡みつく夢を見たが、これはなんだろう?」 深く澄んだ夫の瞳に見据えられて、狭穂姫は黙っていることができませんでした。 「活目入彦王様、活目入彦王様は、命を狙われています。・・・私の兄と・・・他 ならぬ私自身に・・・!!」 妻の告白を聞いた活目入彦王は静かに答えました。 「そなたは悪くない」 と。 しかし、その後も兄と夫の確執は続き、長く不毛な戦が勃発しました。 その上、なぜか、狭穂姫と狭穂彦が男と女の関係なのではないか、という噂が飛び 交います。 悩み苦しんだ姫は、兄とともに死ぬことを覚悟し、兄の陣へ赴きます。 ただ、姫はその時妊娠していました。 「子供だけは助けたい」 狭穂姫は夫のところに使いをやり、子供をひきとってくれるよう依頼しました。 この依頼は、狭穂姫にとって賭けでした。 もし、活目入彦王が今でも自分を愛してくれているのなら、喜んで皇子を引き取っ てくださるだろう。でも、狭穂姫と狭穂彦の関係を疑っていたら・・・。 もし、活目入彦王が皇子の引き取りを拒否したならば、狭穂姫は、皇子の命を救い たいという願いも絶たれる上に、夫の愛がもう自分の上にはないということを思い 知らされてしまうのです。 しかしその時、活目入彦王は、こう考えていました。 「姫と子供だけは助けたい」 と。 活目入彦王は、子供を狭穂姫から受け取るとき、何が何でも姫を奪い取ってくるよ うに、八綱田に命じて、狭穂彦の陣へとやりました。 そして、自分も彼女の側まで行き、切々と訴えたのです。 「狭穂姫よ、私のあなたへの愛情は変わりません。どうぞ戻ってきてください。決 してあなたを責めはいたしますまい。それに第一に、母が死んでしまったら皇子が かわいそうではないですか。皇子のためにもどうぞ生きてください」 活目入彦王の愛情を知った姫は、黙って衣装を着替え、手には珠の輪をはめました。 そして、静かに髪をそり、床に落ちた長い黒髪を集めると、自分の頭の上に静かに 乗せ、活目入彦王の前へ姿を表したのです。 「活目入彦王、あなたは、あなただけは、この皇子があなたの子供だと信じてくだ さるのですね。あのひどい噂を、もし活目入彦王が信じてしまっていたならば、こ の皇子を引き取ってはくださらないだろうと覚悟しておりました。でも、あなたは 迷うことなく皇子を引き取ると言ってくださった。私は活目入彦王の愛に答えたい のです。でも、私は兄を見捨てることもできません。それに、謀反者の妹を妻にし ていることは、あなたにとって良いことだとはとても思えません。どうぞ、皇子を よろしくお願いいたします」 姫が皇子を差し出すと、そばに控えていた八綱田は、皇子を受け取ると同時に狭穂 姫の腕を掴もうとしました。 が、腕にはめていた珠の輪が砕けたため、姫の手は八綱田の手をすべり落ちてしま います。 慌てた八綱田が衣装の裾を掴むと、衣装も脆く引き裂かれてしまいます。 宙に浮いた手がやっとの思いで姫の髪を握り締めても、それは頭からするりと落ち てしまうのです。 姫の後ろで炎があがりました。 八綱田が姫を奪い取ったことを疑わなかった、活目入彦王側の兵が火をかけたので す。 「早まった!」 活目入彦王は、姫に叫びました。 「こちらへ来てください。あなたがいなくなったら、私一人でこの子をどうやって 育てれば良いのです」 姫は戸惑いもせず答えました。 「後妻を迎えてください。どうぞ、兄よりも夫を愛してくださるような女性を」 狭穂姫の目には涙が浮かんでいましたが、唇には華のような微笑が浮かんでいまし た。 「皇子よ、私の代わりにお父様を慰めてあげてね」 姫は身を翻すと、炎の中に飛び込みました。 活目入彦王の目には、真っ赤に燃え上がる炎の中でほの白く浮かび上がった姫の最 期が強く焼きつき、生涯消えることはありませんでした。 そして、活目入彦王は、生涯、狭穂姫の忘れ形見を寵愛したのでした。 ◇ ◇ ◇ 活目入彦王・・・垂仁天皇は、このお話だけを読むと、多少優柔不断な感じを受ける かもしれません。 しかし、彼はまた、タブーに挑んだ天皇でもあるのです。 それまで連綿と続いてきた殉死の風習を 「悪いことをやめるのに吝かではない」 と、きっぱりやめたのがこの天皇です。 この天皇に愛された狭穂姫はどんな女性だったのでしょう。 記紀には彼女の出自について、「沙本之大闇見戸賣の娘」と書かれています。 そして、沙本之大闇見戸賣は、「建国勝戸売の娘」。 つまり、どうやら女系の一族ではなかったかと思っています。 狭穂姫は一族の長だったのかもしれません。 だからこそ、兄の「活目入彦王を殺して我らが天下を取ろう」という誘いを断り切れ なかったのかもしれません。 活目入彦王は、王という立場上と皇子の養育上、後妻をもらいましたが、生涯、皇子 に対する愛情を変えはしませんでした。 この二人の愛は、周囲の軋轢により不幸な結末を迎えましたが、最後まで相手を思い やり合い、愛しぬいた二人に、どんな願い事をしたいですか? ◆◆原典◆◆ 日本書紀 垂仁天皇紀 古事記 垂仁天皇条 ◆◆登場する神を祀る神社◆◆ ○狭穂姫 銀山上神社(境内社)長崎県下県郡厳原町大字久根田舎 ○垂仁天皇 倉賀野神社 群馬県高崎市倉賀野町1263 三大王子神社 山梨県中巨摩郡白根町飯野50 眞氣神社 滋賀県蒲生郡竜王町小口860 角宮神社 京都府長岡京市井ノ内南内畑35 珠城神社 京都府久世郡久御山町大字市田小字珠城2−1 ○沙本之大闇見戸賣命 闇見神社 福井県三方郡三方町成願寺字手洗水12−7 ○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○o○ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「のりちゃんず」 http://www.norichan.jp/ ご意見、ご感想は norichan@norichan.jp まで