祭 神:天津岩戸別神 説 明:看板など一切なく、境内の柱に、「天津岩戸別神」と描かれ ていました。 天津岩戸別神といえば、天照大神が隠れた、あの天岩戸の神 格化された神様で、瓊々杵尊の天降りに随従した神様です。 住 所:奈良県高市郡高取町越智 電話番号: ひとこと:天岩戸別神は、豊磐門戸命・櫛磐門戸命の別名とされていて、 岩戸を護る「門神」ともされます。 門神というのは、中国的な発想だと思っていたのですが、西 洋に、このような神様はおられるんでしょうか?? 古代ローマでは、門や敷居を護る神様を祀っていました。 物事の始まりを司る男女双面の神様。 その名を「ヤヌス Janus」。 古代ローマにあった、フォルム・ロマヌムの広場のヤヌス門。 軍隊の行軍はここから、「始め」たのだそうです。 そして、この門は、軍隊が遠征している間ずっと開けられた ままだったといいます。 つまり、門が開いている時は、自国の兵隊がどこかで戦争を しているのですね。 ヤヌス神は、しばしば対で描かれ、女性の顔を正面に・男性 の顔を後面にした神が鍵を持ち、男性の顔を正面に・女性の 顔を後面にした神が門番の杖を持っているようです。 この神は、「始め」と「終わり」を司るわけで、農作業に関 しては、「種蒔き」と「刈入れ」の守護神でもあり、戦の守 護神でもあるのですね。 神の姿は「双面」ですが、そういう意味では、もっと「多面」 神なのかも知れません。 門をくぐることを「始まり」と考えたのは、ローマだけでは 勿論ありません。 ただ、門を護る神様を、「物事の始まり」を司る神、とした のは珍しいんじゃないでしょうか? 日本の「天津岩戸別神」は、中国の門神・神荼と鬱塁と同じ ように、「厄除け」「災難除け」の性質が強いようです。 これは国の勢いとも関係があるでしょう。 古代ローマでは、外から悪いものがやってくることより、こ ちらから攻めて行くほうが多かったんでしょうね。