祭 神:厳島姫命 説 明:紀ノ川の中洲「船岡山」に祀られている神社です。 島の南側の斜面は縄文中後期、弥生後期のものと思われる土器が出 土しているということですから、かなり古くから集落があったので しょう。 南岸の小高い所を妹山、北岸の山を背山と言うそうで、遠くから見 ると二つの山が並んで仲良く見えることから、万葉集にも妹背山を 詠んだものが、十五首もあるのだそうです。 「吾妹子に わが恋ひ行けば 羨しくも 並び居るかも 妹と背の山」 よみ人しらず 住 所:和歌山県かつらぎ町大字島船岡山 電話番号: ひとこと:この船岡山。別名、「へび島」と呼ばれているのだそうでうす。 なんでも、昔、大洪水が起きたとき、たくさんの蛇がこの島に流れ ついたから、だとか。 さて、厳島姫と言えば、素盞鳴尊と天照大神が誓約をした時に生ま れた三姉妹の一人で、「斎島姫」とも書きますが、島に斎(いつく) 姫という意味になるでしょう。 ですから、川の中洲=島にお祀りする神様としては、ぴったりです。 さて、インドはヒンズー教の女神・サラスバティーは、ブラフマン の奥さんで、河の女神として有名なのですが、この女神は日本に渡 り、「弁財天」と呼ばれるようになりました。 この弁財天が、神の姿になったのが(本地垂迹説)この厳島姫命な んです。 ですから、この「島」が海に浮かぶ島ではなく、河に浮かぶ島であ るという意味では、さらに、この神様にぴったりなのです。 そして、その上、この島の別名「へび島」。 古来、蛇は弁天様の化身であるという信仰がありました。 特に白蛇は、そのように考えられていたようです。 そんなわけで、この島と厳島姫はぴったりなのですが、この神社の 由緒や創建については、さっぱりわかりません。 いつごろからこの神様が祀られているのでしょうか? ただし、この島でひとつだけ、「厳島姫=弁財天」のイメージと、 相反するものがあります。 それは、妹山・背山のお話でしょうか。 この山は、妹背、いもせ。つまり、夫婦と見られています。 弁財天は、福徳の神であると共に、「焼餅やき」な神様としての イメージが強くあります。 カップルで弁天様にお参りに行くのはよくない、なんて言うのは、 そのせいです。(私は夫婦で何度も行っていますけどね) そうすると、弁天様が輸入される前からの祭祀かな? という気もするのですが、そうすると、蛇=弁天様の関係は崩れ ちゃいますね。 まぁ、「へび島」と呼ばれるようになったのがいつからなのか、 もわからないので、弁天様は、あまり関係ないかも知れません。