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耳成山口神社

miminashiyamaguchi





  祭  神:大山祇大神 高皇産霊大神
  説  明:大和三山。
       香久山・畝傍山・耳成山のうちの一つである、耳成山にある神社で、
       延喜式内社です。       
  住  所:奈良県橿原市木原町490
  電話番号:
  ひとこと:この神社は、あくまで、「山口」神社です。
       確かに、鳥居をくぐった後の鬱蒼とした感じから、いや〜な予感は
       していましたが・・・。

       山の「口」だよな。「口」でしょ?「口」なんでしょ〜〜〜!!
       という叫びも虚しく、やっと社殿が見えてきたのは、ほとんど頂上
       近く。
      「耳成山頂神社」に改名しなさ〜〜〜い!!!

       それはよしとして。

       大和三山には、それぞれ神社がいくつか祀られています。
       地図で見えるだけで、
       畝傍山には畝火山口神社。
       耳成山には耳成山口神社。
       香久山には国常立神社・天香山神社。麓に天岩戸神社・畝尾都多本
       神社・・・。
       ん?畝傍?

       畝傍山は、女性が伏しているような姿から、女神の山とされてきた
       山です。
       香久山は、「天の」とつけられるように、三山の中でも、特に格上
       のように扱われています。
       が、耳成山は、なんとなく地味です。

       和歌でも、香久山との対立を詠んだ歌が目立ちます。
       ただし、万葉集では、青菅山とも呼ばれているそうですが、なんと
       いうか、やはり、地味な気がします。

       ただ、
      「耳成の 池し恨めし 我妹子が 来つつ潜かば 水は涸れなむ」
       に耳成で昔、起きた事件を偲ばせます。

       三人の男性が一人の女性に求婚するのです。
       それで思い悩んだその女性は、池に入水自殺。
       悲しんだ男たちが歌った歌の一つです。
       他の二人の男が詠んだ歌を紹介すると、

      「あしひきの 山蔓の児 今日行くと
                        我に告げせば 帰り来ましを」
      「あしひきの 玉蔓の児 今日のごと
                       いずれの隈を 見つつ来にけむ」

       どうも、よくわかんないのですが、三人の男たちに求婚されて、な
       んで入水自殺しちゃうんでしょうね?

       子供の頃に読んだオランダの、チューリップ伝説を思い出します。
       可憐な美少女チューリップは、領主・騎士・大金持の農民から求婚
       されるのです。それぞれ王冠・剣・金塊を贈り物にして。

       あまりにも無垢・・・というか、物知らずなチューリップは、素直
       に全てのプロポーズを受けます。

       当然の如く、この三重婚約はバレ、三人の恋する男にチューリップ
       は殺されちゃうんですね。

       しかし、その無垢な魂を憐れんだフローラは、チューリップを生前
       そのままの可憐な花に変えました。
       だから、チューリップは王冠の形の花・剣の形の葉・金塊の形の球
       根を持っているんですよ。
       というお話。

       なんてあっぱれな娘、チューリップ。
       三人に求婚されて悩むどころか、もらえるものはちゃっかり貰って、
       ケロリンパ。

       殺されちゃったのは計算外だったけど、お人よしの花の女神によっ
       て、かわいい花に姿を変えてもらって、めでたしめでたし。

       なのに、この万葉集の女性は、何も欲しがらず、何も求めず、ただ
       死んだんですね。

       なんで?
       ちょっと想像してみましょうか?

       一つ目のケース。
       この女性は、「自分が振ったら、振られた男は死んでしまうのでは
       ないか」と畏れて、誰を選ぶこともできなかった。
       ・・・大丈夫でしょ。
       振られた時はショックでも、すぐ立ち直るって。
       しかも一人選んだら、二人が振られるわけで、慰め合うって。

       二つ目のケース。
       三人のうち誰も選べなかった。
       そのうち、一つ目の場合。
       どの男も「いや」だった。
       ・・・三人とも振っちゃいなさい。なに悩んでんですか。

       そのうち、二つ目の場合。
       どの男もOKだった。
       ・・・これが一番問題かもね(^^ゞ

       大体、恋愛において、誰か一人しか愛せないなんてのは、迷信でし
       ょ。・・・いや、私はそう思うんですけどね。
       友情と愛情を定義づけたり、恋と愛の違いを申したてたりしても、
       無意味でしょ。・・・いや、私はそう思うんですけどね。

       誰か大事な人がいたら、その大事な人以外の人に恋愛感情持ったら、
       その大事な人が悲しむから、
       だから、一人だけしか異性として好きになれないんじゃないか、
       と、思います。

      「大事に思ってる」こともですが、「悲しませたくない」つぅのが、
       なんつぅか、恋愛感情ってのに不可欠なように思うわけです。
       わたしゃ。

       だから、「彼よりあなたの方が好き。でも、彼を悲しませるのは、
       いやなの」って言われたら、彼女のことは諦めなはれ。

       負けですわ。いや、多分。
       人によって違うだろうけど。

       だから、この女性の場合のように(?)始めから、三人同じように
       好きだったとしたら、悲しませないために、誰も選べないのは、自
       然なことなんだと思います。多分。

       この女性が、三人の男全てが好きで、選べなかったこと。

       それでも、男達は、自分一人を選んで欲しかったこと。

       ありそうな話。

       誰か、花の女神様でも川の女神様でも、彼女のこと、花にしてあげ
       てくれないですかねぇ・・・。

       ちなみに、和歌に出てくる「山蔓の児」「玉蔓の児」なんですが、
       これは、謡曲の「三山」にちなみます。

       耳成山の桂子(蔓児)と恋仲だった、香久山の膳夫公成が、畝傍山
       の桜子に心を移したため、桂子は 耳成の池に入水してしまう、と
       いうお話です。

       同じ入水でも、桂子は、思いが離れたから。
       でも、この女性は、思われ過ぎたから。

       誰か、花にでもしてあげてくれませんかねぇ・・・。
       カタクリなんて、ぴったりだと思うんですけど。       

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