祭 神:大歳御祖神 説 明:公式サイトのご由緒を転載させていただきます。 「《由来》 由緒は不詳ですが、大化2年(646)の創建と社伝(『武庫郡誌』)にも記載 されており、また応永4年(1397)6月19日摂津国八部郡丹生郷より遷座 されたとも伝えられています。 古くは今よりも南にあり、三木街道沿いの今もある字大道(おおどう)はもと大 堂と書き、壮大な社殿を営んでいたといわれていますが、現代の社殿は、元禄5 年に改築されたものです。 《ご神徳》 大歳御祖神は、素盞嗚尊の御子神で、宇迦之御魂神(稲荷神)等と同じ五穀豊穣 守護の神です。 《特殊なおそなえもの》 まず高野豆腐1枚の上に人参・大根を高野の幅に短冊状に切ったものを載せ、そ の上に干ししいたけをその上にごまめを載せて金赤色の水引でくくります。 これ1つで海のもの山のもの、そして紅白のものがコンパクトにそろい、なかな かうまく考えられています。 正月の翁舞神事と10月の例祭の時にこれと通常のお供えを一緒に、本社・末社・ 狛犬など境内13箇所にお供えします。 《翁舞神事(国指定重要無形民俗文化財)について》 翁舞神事は、現在『車大歳神社翁舞保存会』が保存・伝承しています。 地元では、「お面式」「能面の式」「お面の行事」あるいは、単に「お面」と呼 ぶこともあります。 事の創始に関する資料や伝承はありませんが、当地区の家の戸主は隠居するまで に一度は、この神事を営む「ヤド」を勤めなければならないとされています。 毎年、1月8日から12日までの5日間、ヤドでは、点した1本のろうそくをご 神前に見立て、翁・三番叟・露払いの各役、そして笛・大鼓・小鼓方など、そこ に向かって集中した稽古を行います。 当日14日の午前、神前に於いてこの神事に奉仕する人たち、又翁舞保存会の役 員たちはお祓いを受け、神事の無事舞い納める事を祈願した後、本殿に祀る神面 三面を受け、行列を組んでヤドに持ち帰り、縁側より入って床の間におさめます。 翁舞神事午後6時ごろ各員装束を整え、縁側からヤドに入り最後の稽古の舞が舞 われます。 午後7時、またもと来た様に縁側から庭に出て行列を整え、小田原提灯で足元を 照らしながら神社に向かって参進します。 そして、拝殿において宮司によるお祓いを受けた後、神酒をいただき笛と小鼓に よって約1時間の翁舞が始まります。 この舞は呪術性が強く、当社のご神体として祀られている神面を使って「天下泰 平」「国土安穏」「五穀豊穣」を祈願するものです。 現在一般に演じられる翁舞より「父尉(ちちのじょう)」の部分が多く、四部構 成で演じられます。 南北朝時代の猿楽『翁』には「父尉」は登場しましたが、猿楽が発展した室町時 代では既に登場しなくなっているそうです。 当社の翁舞は、よく古態を守って芸能の変遷を示すのに重要ということで評価さ れ、平成12年12月『国の重要無形民俗文化財』に指定されました。 」 住 所:兵庫県神戸市須磨区車字松ヶ原551 電話番号: ひとこと:2014年1月14日、翁神事を見学してきました。 お祭りは午後7時に開始。 激しい三拍子の太鼓が叩かれ、宮司さんによる祝詞から始まります。 神饌は既に供えてあり、祭事の途中に献じたり、撤収したりはありません。 神饌は野菜など山の物が中心です。 本サイトに書かれたおそなえものを見ても、魚介類はないようですね。 次いで、祝詞が終わると、舞人や楽人の登壇。 「宿(やど)」と呼ばれる当屋の家で練習を終えた後、神社に向かうという段取り になっているようです。 「宿」は「しゅく」とは読まないのですね。 まずはやはり、面が重々しく捧げ持たれて登場します。
公式サイトにある通り、この面は、「ヤド」から運ばれ、祭りが終われば、本殿 に大切に仕舞われます。 拝殿前には配役が書かれているのですが、トップに書かれているのが、「宿」。 それだけ重要な役割なのでしょう。 こういった村のお祭りの場合、当屋に当たる家は、一年で百万単位の出費がある ようです。 ここのお祭りの場合、練習場所を提供するわけですから、その後の宴も主催する のでしょうね。 配役が書かれた順番は、 1.宿 2.太夫(白式尉) 3.三番叟(黒式尉) 4.露払(千歳) 5.大鼓 6.小鼓 7.笛 8.地謡 9.神主宿 10.火点し と続きます。 また舞う順番は、 1.露払 2.太夫 3.三番叟 4.父尉 まずは舞人や楽人の清め祓いから。
次に、お酒と生米がふるまわれます。
白式尉・黒式尉・父尉のお面は大歳神社のご神体でもあります。 それゆえか、面を扱う人々は、和紙を口にくわえたり、和紙のマスクをしたり、 と、失礼のないよう、念入りに装備しておられます。 大切な神器を扱う際、榊を咥えるお祭りはよく見かけますが、白い和紙は、却っ て珍しいかもしれませんね。
地謡が終わると、露払の舞。 今年初めて舞台に立つ舞手だそうですが、しっかりと科白を覚えていて、つまる ことなくこなしていました。 可愛い!! 扇子は黒地に赤の日の丸です。
太夫が白式尉をつけます。 ここに神降臨!
太夫の面は、他のお祭りに使われたものに比べると、かなり粗削りな感じがしま す。 謡も、 「ちは〜や〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ぶるっ!!!」 てなリズム。 なんというか、 「ん〜〜〜〜、元気いいねぇ」 と目を細めたくなるような、勇ましい謡でした。 「萬歳楽」 の謡が始まると、 「家内安全!!」 などの掛け声も飛びます。 妙な気取りがなく、とても素朴ですよね(≧∇≦)
すり足というよりは、スキップに感じる、軽い足取り。 なんだか楽しそうに感じる舞でした。
白式尉のアップはこんな感じ。 とても楽しそうに笑って見えませんか? 扇は表が金、裏が銀です。
三番叟も少年でした。 直面の舞はとても軽やか。 私の隣には舞手のお母さんが。熱心に動画を撮影しておられました(#^.^#)
やがて黒式尉の面を着け、神の降臨となります。
面は真っ黒ではありません。 意外なことに(といっていいのかな?)鈴の振りはとても控え目。 激しく音を出すわけではなく、全体的に軽やかで楽しげに見えました。
黒式尉の面はこんな表情です。 逆光でうまく撮影できてないのですが(^^ゞ
そして父尉の舞。 父尉の目が、アーモンドアイに見えるのは気のせいでしょうか(^^ゞ?
父尉の舞が終わると、太鼓が叩かれます。 面はまた美しく仕舞われ、舞人の頭の上を周って、宮司さんの手へ。 そして本殿へとまた祀られるのです。
宮司さんが本殿の奥へ入られると、灯りがふいと消えました。 ご神体が仕舞われる場面を、明らかにはしないのでしょう。 そして舞人や楽人の退場。 2013年の秋から、奈良豆比古神社、山添村の春日神社、そして山本能楽堂と、様々 な翁舞を拝見してきました。 ほんと、それぞれに個性があって、いろいろ考えさせられます。 ここ、大歳神社に隣接して、妙法寺があるのですが、ここの追儺は、鬼が幸を祈る という様式。 丹波は鬼が人々に幸せを運んでくるというお祭りが多いと言われていますが、ここ もそうであるようです。 大歳の神は、一種祟り神……「鬼」ともいえるでしょう。 翁舞が力強く、元気いっぱいなのは、そのせいもあるかもしれません。 詳しいことはわかりません。 ただ、なんだかとても楽しいお祭りのように感じました(#^.^#)