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久須斯神社

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  祭  神:久斯之大神 大水上之神 天照国照日子火明之命
  説  明:案内板を転載します。
      「この神社は、久斯之大神を祀る三茶屋集落に住む人々の氏神です。
       大井の大水上之神と笛吹の天照国照日子火明之命の二柱を合わせて祀
       って、俗に三社大明神とも呼ばれています。
       久斯之神は少名毘古那神とも呼ばれ、大国主之神とともに国造りをし
       た神とされています。また古来より医薬の神とも、酒造りの神として
       も信仰されています。
       この神社の前を通る道は、伊勢街道と呼ばれ、伊勢参詣の人々が往来
       した古い街道で、それを示すように、社前には文政十三年の銘がある
       大神宮おかげ詣りの石灯篭が建てられています。
       また、この神社がある三茶屋の集落は、東西に走る伊勢街道と、南北
       に通じる宇陀・吉野を結ぶ街道の交差点に位置し、古来より交通の要
       衝として発達したところです。かつて、この集落内に上茶屋、中茶屋、
       なかやと呼ばれる三軒の茶屋があって、紀州徳川候が参勤交代のおり、
       ここで中食をとるところと定められていたことから、三茶屋と呼ばれ
       るようになったといわれています。」
  住  所:奈良県吉野郡吉野町三茶屋143
  電話番号:
  ひとこと:久須斯神社。
      「くすし」神社、という音から、「薬師」を連想していたのですが、案
       内板を見る限りでは、その連想は外れていなかったようです。

       ただ、久斯之神の別名が、少名毘古那命だというのが後づけなのかど
       うか、の判断は、この資料だけでは、難しい。

       少名毘古那命は、医薬の神として名高い神。
      「薬師」の神と聞いて、この神を思い出す人は少なくないと思うからで
       す。

       ただ、私がよく参照する、神社新報社の「日本神名辞典」で、「久斯
       神」を引くと、
      「少名毘古那神のこと。くしとは酒の義。酒をみきといふのは、くしの
       訳の『き』に、『み』といふ美称を添へているからである。」
       とあります。

       が、その引用元がかかれてない(^^ゞ

       ただ、出雲国風土記にも記載されている、佐香神社の御祭神が、同じ、
       久斯之神。

       この界隈は、出雲出身の人々が住む場所だったのかもしれません。

       街道が交差する地点ですから、いろいろな人々が集まっていたのでは
       ありそうですけれどね。

       ところで、私が個人的に興味を持ったのは、合祀されている神々と、
       その地域です。

      「大井の大水上之神と笛吹の天照国照日子火明之命」

       大井・笛吹共に、吉野町内にそのような地名は見当たりません。
       つまり、遠隔地から合祀している。

       奈良で笛吹といえば、葛城の笛吹を思い出します。
       そこに鎮座するのが、「葛木坐火雷神社」。
       火雷大神をご祭神としますが、神社の栞では、別名を、迦具土神とも火
       産霊神とも言うとされています。

       しかし、この久須斯神社のご由緒を見ると、笛吹のご祭神は、天照国照
       日子火明之命。
       この神は、天孫瓊々杵尊より早く、地上に降臨したとされる、饒速日尊
       の別名・・・というより、名前の一部だとされています。

       饒速日尊は物部氏の祖神ですから、この神社(もしくは葛木坐火雷神社)
       と物部氏の関係は、再考しないといけないかもしれません。

       それでは、大井の大水上之神とは?
       神社新報社の「日本神名辞典」で、「大水上神」をひくと、
      「大山津見命の別名(古史伝)」
       とあります。

      「大水上天神」という神もおられまして、こちらは、
      「香川県の式内社大水上天神社の祭神。大山積命を祀ってゐる」
       とあります。

       ・・・香川??

      「大井」はよくわかりませんが、大水上之神のルーツは、香川にあるのか
       もしれません?

       香川といえば、同じ四国にある愛媛の「大山祇神社」の御祭神は、伊予
       国風土記では、「和多志(渡海)の大神」とも呼ばれている、山と海の
       神です。

       同じ原則が香川の大水上天神社に通用するかどうかはわかりませんが、
       香川も海に面している神社。そして、「水上」という社名から、山と水
       の神である、という考え方は、突飛ではないと思います。

       としたら、この神社は、なんてバラエティに富んだ顔ぶれの神々を揃え
       ておられるのか。

       もちろん、「街道が交差する地点にあるから、あちこちの神々が集まっ
       てきたのさ」という考えも成り立つとは思いますが、それにしては、こ
       の三神だけ、しかも、特徴的な名のこの三神だけが祀られているという
       ことに、興味が惹かれます。

       出雲の酒神=久斯之大神。
       葛城の火(日)神=天照国照日子火明之命。
       香川の山と海(水)の神=大水上之神。

       なんだか、わけわかりません(笑)

       わかりませんが・・・。

       この神社は、伊勢街道と、宇陀・吉野街道が交差する地点。
       つまり、「辻」に鎮座しています。

       辻とは、古来、東西を問わず、神聖な場所とされていました。

       それは、「いろいろな人が通る」ということに大きな意味があるのかも
       知れませんし、「道」というものを神聖視した結果かもしれません。

       もしくは、「辻」は、いろいろな人に踏まれ固められる場所。
       そこに、永久に封じ込めたい神を・・・などという、とんでもない妄想
       も涌きますね。

      「踏む」という行為には、呪力があるのです。

       その他、辻は旅立ちの場所、何かがやってくる場所でもあります。
       例えば六地蔵は、辻にいらっしゃることが多いように思います。

       お地蔵様は、旅立ちを見守り、邪の侵入を防いでくださるわけです。

       その他、例えば、日本には、「辻占」というものがあります。
       これは、辻に立ち、聞こえてきた人の声で、吉凶を占うというものです。

       つまり、辻で聞こえる声は、「神の声」なのですね。

       辻には、神が鎮座まします。
       その感覚のそもそもの源には、どのような思いがあったのか、私にはわ
       かりかねますが・・・。

       この大きな街道が交差する地を守っておられる神々。
       その豪華かつバラエティに満ちた神々が、この地に集結している理由は
       なんなのでしょう。

       それらの神々に魔除けの力があったのか、それとも、それらの神々を祀
       る人々が、たまたまそこに終結してきたのか。

       皆さんはどう思いますか?

                  *** 後 記 ***


       ゆーでぃあの落王さんから、情報をいただきました。

       ***
      「笛吹と大井」の神を合祀されていますが、笛吹は数百メートル南にバス
       停が残っていました。参拝されていたおじさんに「大井」を聞くと、少
       し北部の位置を教えてくれました。この神社に近い場所から合祀された
       ようですね。
       ***

       私、思いっきり見当はずれでした〜ひゃ〜恥ずかし(^^ゞ
       ・・・でも、勿論、懲りないのである・・・。

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