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斎場御嶽

seifa





  祭  神:アマミキヨ
  説  明:南城市公式サイトより引用します。
      「沖縄最高の霊地とされ、琉球の創世神アマミキヨがつくった国始めの七御嶽の
       一つとされている。王朝時代、琉球の最高神職にあった聞得大君の即位儀礼が
       行われた聖地として名高い。 」
  住  所:南城市知念字久手堅
  電話番号:
  ひとこと:この御嶽は、「もっとも格が高い」とされているようです。

       アマミキヨ、アマミクは同じ神様のこと。
       ウチナーグチ(沖縄語)では、「アマミキヨ」の発音の方が近いそうです。

       この神様の伴侶が、シネリキヨとされ、二人で琉球国を創生したとされます。

       ご存じのように、沖縄は女性の権威の高い地です。
       国王の次に偉いのが、最高祝女(のろ・神職のこと)である、聞得大君である
       ということは、特徴的でしょう。

       もちろん、その昔は、多くの国で、それが普通だったのかもしれませんが……。

       その聞得大君の即位式が行われるのも、ここ、斎場御嶽。
       話によれば、琉球国王も、つどつどここに礼拝にこられたとか。

       そして、この斎場御嶽から遥拝できるのが、久高島。
       アマミキヨが降り立ったとされる神の島です。

       今回、私たちはこの久高島へ渡ることにしました。

       船は高速船とフェリーがありますが、私たちが行った当時、高速船は検査に出
       されていたため、9時発のフェリーで久高島へ渡り、11時の船で戻ってくると
       いう、かなりの強行軍ではありました。

       とはいえ、島周8キロほどの小さな島なので、レンタサイクルを使えばすぐに
       周れてしまうのですが。
       しかも、島の北半分は禁足地。
       観光客が立ち入ることのできるような場所ではありません。

       そんなわけで、まず、久高島の中にある御嶽「クボーウタキ」へ向かいます。
       もちろんここも部外者立ち入り禁止。
       祝女さんたちでさえ、祭りの日以外は一切入ることができないそうです。

       船の乗り場でいただいた資料によれば、
      「沖縄七嶽の一つで、最高の霊地で、男子禁制である。ピーマティー、マブッ
       チ祭、ヒーサチ、八月祭、フバヤクの祭事が行われる」
       とあります。

       この島の祭り事として有名なのは、なんといっても「イザイホー」ではにない
       でしょうか。

       今は途絶えているようですが、かつては12年に一度、午年に行われていたよう
       です。

       30歳をこえた女性は、神女になると考えられていて、その就任式とも言える祭
       なわけですね。

       形式としては、ニライカナイ(ニルヤカナヤ)から神様を召喚し、女性たちを
       神女として迎え入れていただくという形のようで。

       しかし、なんでこの祭りが今は途絶えているかというと、
      「該当する女性がいないから」
       ということらしいんですよね。
       なにしろ、島で生まれて、島の男と結婚した女性しか神女になれないというこ
       とで……。

       この儀式でよく知られているのが、「橋渡り」でしょう。

       神女となる女性たちは、七つの橋を渡るのですが、もし資格がない女がこの橋
       を渡ろうとすると、たちまち落ちてしまうと言われているようです。

      「島出身でかつ島の嫁」でなければならず、なおかつ、「神様に選ばれ」なけれ
       ばいけない神女さん。

       今でも大きな力を持っておられるようでした。

       クボーウタキの前には島の男性が立っておられて、
      「今、神女が祈りをささげているから、出口近辺にも近づかないでください」
       とのことでした。

       一応、女性の私は、
      「出口のところで見るぐらいなら」
       と許可をいただいたのですが、御嶽の森は、南国に似合わず鬱蒼として、ふと
       大阪泉州・大鳥大社や、夜疑神社の神叢を思い出したのが不思議でした。

       さて、この島にはもう一つ、興味深い話が伝わります。

       アマミキヨが降臨したとされる「カベール」は島の北端ですが、南端には「エ
       ラブ岩」と呼ばれる岩があり、「イラブーガマ」と呼ばれるほら穴のような施
       設があります。

       資料によれば、
      「イラブーとは海蛇のことで、滋養強壮剤として中国使者の接待や、貢物として
       珍重されていました。神からの贈り物として扱われ、古来より久高ノロ家の漁
       場でしたが、現在は字として管理しています。」

       ……何かを思い出しませんかね?

       そう。
       出雲の神在祭ですね。

       このお祭りの始まるころになると、海蛇が稲佐の浜に漂着するといいます。
       海蛇は噛みのお使いとされ、全国から集まる神々の先導役として祀られるわけ
       ですね。

       久高島のイラブーも、神様からの贈り物……。

       久高島宿泊交流館には資料館があり、係の方がいろいろ説明してくださりまし
       た。

       ウミヘビのことも聞いてみると、

      「出雲との関係を指摘する学者さんは多いですよ」
       とのこと。

       しかし、こうもおっしゃりました。

      「アマミキヨ降臨神話は、琉球王国の影響です。
       それ以前、この島は、太陽と月と海の自然神を祀る自然信仰の島でした」

       当然のことですが、この島の信仰も何層にも重なっているということ。

       そして古層の信仰におけるお祭りでは、インドネシアのお祭りとそっくりのノ
       ボリを立てられていたというお話を伺いました。

       インドネシア……。
       もちろん断言はできませんが、昔、オセアニアを出発点とした海の民たちは、
       海流にのって、さまざまな大陸・島へたどりつきました。

       チリのイースター・ハワイ・インドネシア、そしてもちろん日本にも。

       古層の信仰は、彼ら海の民のものだったのかもしれません。

       この島には、「五穀の入った金壺が流れ着いた」という伝承のある、伊敷浜が
       あります。

       この浜に立つと、何も邪魔することのない海。

       五穀がどこからやってきたのかはわかりませんが、常世・ニライカナイからだ
       と考えられていたのではないかなどと思います。

       神の坐ます常世からの風だと感じると、南国の風に、なんらかの香りを感じて
       しまう私はお調子者(笑)

       しかし、そこに古代から続く息吹があることは間違いないと思うのです。  

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