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菟足神社

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  祭  神:菟上足尼命 
  説  明:ご由緒を引用します。
      「御祭神菟上足尼命は、第八代孝元天皇の御裔葛城襲津彦命四世の御孫にあたり、
       第二十一代雄略天皇の御世に、穂の国(現在の東三河地方)の國造に任ぜられ
       た方です。
       葛城襲津彦命は、第十六代仁徳天皇の皇后・磐之姫媛命の父君にあたられ、大
       和葛城地方の豪族として、さらには大和朝廷の将軍として、大きな力を揮って
       おられました。菟上足尼命は、こうした名門の出として、また顕著な殖産、治
       民の功によって、没後平井の柏木浜に大神として奉斎され、さらに第四十代天
       武天皇の白鳳十五年四月十一日に、神の御おしえのままに秦石勝により現在の
       地に遷し祀られました。平安初期貞観六年(864年)には神階は従五位に進
       み、祈年祭、新嘗祭には国幣の共進にあずかり、皇室の崇敬深く、延喜五年
      (905年)に編纂が始められた「延喜式」神名帳に登録されている、由緒ある
       神社でもあります。
       徳川幕府になり、家康公も親しく参拝され、神領(九十五石、制礼寄進)を寄
       せられ、領主・藩主等の崇拝篤いものがありました。明治維新の初め、天皇東
       幸の際には、勅使による御参向を賜っています。また、明治十一年には、有栖
       川熾人親王御染筆にかかる『式内菟足神社』の社号軸を頂いております。さら
       に大正七年には郷社から昇格し、県社に列せられることとなりました。」
  住  所:愛知県豊川市小坂井町宮脇2
  電話番号:
  ひとこと:この神社には人身御供の伝承が残っています。
       神社からほど近い、豊川には、「子だが橋」の伝承地があります。

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       その言われを引用しますね。
      「子断が橋ともいわれ、明治時代には『小田橋』と書いてあった。
       およそ一千年前、菟足神社には、人身御供があり、春の大祭の初日にこの街道
       を最初に通る若い女性を生贄にする習慣があったと伝えられている。
       ある年のこと、贄狩に奉仕する平井村の人の前を若い女性が故郷の祭礼と父母
       に逢う楽しさを胸に秘めて、暁の街道を足早に通りかかり、橋の上まで来た。
       見ればわが子である。
      『ああいかにすべきか』と苦しんだが、神の威光の尊さに、『子だが止むを得ん』
       と、ついに生贄にして神に奉った。
       それからこの橋のことを、子だが橋と呼ぶようになったということである。
       現在、菟足神社では、十二羽の雀を贄に替えておこなわれている。」
       
       私がこの神社に参拝したのは、まさに春の大祭初日。
       2013年4月13日の10時過ぎでした。
       到着と同時に、鳥居をくぐっていく紋付き袴の男性たちが。
       彼らが下げていたのは生贄を入れる唐櫃でしょう。
       拝殿に担ぎ込まれた唐櫃はこれぐらいの大きさ。

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       小さいです。
       当時としても、成人女性が入るでしょうか?
       
       それにしても、人身御供をたてるということの本質はなんなのでしょう?
       
       南方熊楠は、「おさかべ姫は、人柱となった娘のなれの果てであろう」と、
      『人柱の話」に書いています。
       つまり、「人柱」は、その建造物の守り神になるのだという感覚ですよね。
       
       神への御供えという意味もあるでしょう。
       この場合、守り神に対する捧げものということになるでしょうか。
       
       この二つのパターンでは、生贄の意味がまったく違うと思いませんか?
       
       菟足神社のそばには貝塚跡があります。
       つまり、漁をして暮らす海の民がそこに居住していたということでしょう。
       つまり、縄文時代から栄えた土地だったと考えられます。
       
       そして同時に、徐福伝説も伝わっています。
       徐福と言えば、秦の始皇帝の命を受け、不老不死の薬を求めて旅立った男。
       彼がやってきて住み着いたのだとすれば、縄文人よりは後着の民となった
       はず。
       
       この神社で、人身御供の風習が始まったのは、いつごろなのでしょう?
       彼らはどういう意味をもって、人身御供をたてたのでしょうね?
       
       それがとても、気になるのです。

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