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磯良神社

isora




  祭  神:磯良大神
  説  明:由緒略記によりますと、
      「磯良神社は、『疣水神社』の通称で知られ、地元三島地方はも
       ちろん、広く京阪神一円より篤い崇敬をうけております。
       当神社の御祭神・磯良大神は九州安曇氏の祖神として知られ、
       また住吉三神とともに神功皇后三韓への御征途に際し、水先案
       内をされて航海の安全に功があったと伝えられます。
       当神社がどのような経過をたどってこの地に奉祀されたかにつ
       いては、詳しい史料は残っておりませんが、言い伝えによると、
       当神社はもともと式内社・新屋坐天照御魂神社の境内社であっ
       たが、寛文九年(西暦1669年)天照御魂神社が現在の地に
       御遷座されてより相離れて今日に至っているとのことです。
       なお、現在の御社殿は昭和五十四年の造営になるものです。

       神功皇后と霊泉『玉の井』(疣水)
       当神社には神功皇后のつぎのような伝承が残っております。
       昔、神功皇后が、三韓への御征途に際し、皇后はこの地に立ち
       寄られて天照御魂神社に御祈願あらせられ、社頭に湧き出る
      『玉の井』で顔をお洗いになった。すると不思議にも、洗われる
       や否やお美しい皇后のお顔がみるみる疣や吹き出物で覆われて、
       醜い男のようなお姿になってしまった。
      『これは御神慮のたまもの』と皇后は力強く男装をされて、その
       まま彼の地へ向かわれたが、そのため女性の御身をもって敵に
       侮られることもなく、みごとな戦果をおさめられた。
       そして、御凱旋ののち夢のお告げにより再びこの『玉の井』で、
       顔をお洗いになると、お顔はたちまちもとの美しさに戻られた
       という。
       この伝承もあって、当神社御社頭の霊泉『玉の井』は、古くか
       ら『疣水』の名をもって広く世に知られ、疣はもちろんのこと、
       諸病平癒に霊験あらたかな御神水として知られております。
       寛政十年(西暦1798年)頃出版された、『摂津名所図会』
       は、周辺の当時の模様を紹介していて興味あるものですが、同
       図会にはこの『玉の井』(図会では『便(よるべ)の水』とし
       て紹介)のことが次のように紹介されております。
      『(前略)よるべの水は社頭の神水なり 世人此水を疣水といふ 
       こゝに来て疣黒痣を濯ふ時はなどか美とならざらんや(中略)
       摂津志には玉の井と書り』
       この『玉の井』の水を汲んで神前にそなえ、拝礼ののちこれを
       受けて帰る崇敬者はいまも引きもきりません。

       元天然記念物 『井保桜』(疣桜)
       神功皇后がお手植になったと伝えられる『井保桜』は山桜の変
       種で、花は淡紅白色の八重咲き、花弁の数は二十三枚を数える
       めずらしいものです。前述の『摂津名所図会』によると、
      『疣水の北にあり、此花木稀代の大樹にして野辺に只一木ありて
       遠境より見えわたるなり、根本より壱間斗上より株二十余に別
       れて四方繁茂し小枝数千あり、一木の周り五十間許なり、花は
       山桜の少し小輪伊勢桜ともいひつべきものか、花の盛は立春よ
       り七十日目許なり、其年の寒温による、浪花及び近隣より群来
       りて艶花を賞す。』
       とあり、満開時のすばらしさが想像されます。
       昭和二年四月天然記念物に指定され、桜としては大阪府唯一の
       ものでありました。
       しかし、そのころには著しく衰え、昭和十九年ついに枯れてし
       まいました。現在当神社では二世樹を育てて郷土の名桜の保存
       に努めている次第です。」
       とあります。
  住  所:大阪府茨木市三島丘1丁目4−29
  電話番号:0726−22−4815
  ひとこと:いやぁ、なんだか、RPGの「神の井戸」みたいですね。

       しかし、女性が、顔を洗うなり、吹き出物だらけになったら、
      「これは、神の配慮なんだわ」なんて、普通思えませんよね。

       太宰治の「皮膚と心」っていう短編の女主人公は、顔じゃなく
       胸から背中・首にかけて吹き出物が出ただけで、初婚ではなか
       った旦那に「結婚詐欺!!」と、当り散らすわ、ワガママ言う
       わ、嘆くわ、「私はプロステチウト(娼婦の意味。なんで?)」
       と思いつめるわ、大変なんですから。
       いや、でもそれが普通ってもんです。
       
       さすがに日本の歴史を作った女性、度胸がすわってます。
       
       さて、太宰の小説中の女性は、結局中毒が原因の吹き出物だっ
       たということで、注射で、すっかり治ってしまいます。

       神功皇后の「疣」はなんだったんでしょうか?

       やっぱり、すっきり治ったということは、この女主人公と同じ
       病状だったのかも知れませんね。

       もし、この神社の水が、
      「理由あって、美しいものを、醜く変え、
       理由がなくなれば、また美しく戻す」
       という力を持っているのならば、井保桜も「美しく」戻るかも
       知れません。

       木は「接木」によって、いくつものクローンができます。

       新しく生えてくる木に咲く花は、勿論、違う花なんだけれども、
       大元の木の花と、「クローン」が、コピー元の生物と「同じ」
       なのならば、接木した木に咲く花も、「同じ」ものだといえる
       でしょう。

       動物、得に、進化が進んだ動物は、簡単に、「接・生命」はで
       きません。

       とかげだって、尻尾は生え変わるけれど、尻尾から手足・頭が
       生えてくることはありません。

       他の動物は尚更です。
       失った部位が自然に再び備わることはありません。

       神功皇后の美しさ、が、さて、とかげの尻尾のように、再生す
       る性質のものなのか、枯れた木の「生きている部分」から、接
       木によって、新しい生命を作り出すような性質のものなのか。

       それはわからないけれど、この「疣水」は、どちらかの力を、
       実現するパワーのある水なのですね。

       できるならば、新しい生命を。
       もともとの樹木は枯れて死んでしまっても、新しい生命を、も
       う一度生かす力であればいいのに。

       レミングという動物がいます。
       この鼠の一種類である動物は固体数が増え過ぎると、無鉄砲な
       渡海の旅に出ます。
       増え過ぎたことにより、自然界で、自分達の「種の存続」が難
       しくなるのを防ぐためにです。

       彼等の行動は、本能的なものとはいえ、「個」よりも「種」を
       優先させたものです。

       多分、そういうものなのです。
       生物の本能には、「個」より「種」を優先させるというプログ
       ラムが存在しているような気がしませんか?

       だから、桜の木も、天然記念物の「井保桜」は枯れちゃっても
       いいのかも知れません。
       井保桜二世が生まれるのならば、「井保桜」は枯れないのです。

       そしてそれを実現するために、きっと、「疣水」は力を貸して
       くれるんでしょうね。

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