祭 神:素盞鳴尊 保食神 説 明:現在の本殿の創建は、元文元年(西暦1736年)。 田井中村の地の氏神として、崇敬されてきましたが、田井中村 の発祥は、極めて古く、奈良時代以前であると考えられ、この 神社の創建も、村発祥の昔に遡ると思われるのだそうです。 しかし、この附近は、旧大和川が度々氾濫し、村民は、南へと 移動することを余儀なくされたため、元文元年に社殿を再建さ れたのだと、推量される、ということです。 住 所:大阪府八尾市田井中2丁目 電話番号: ひとこと:この神社も、素盞鳴尊&保食神ペアですね。 保食神は、日本書紀に出てくる神様ですが、古事記に出てくる、 大宜都比売と同一神だといわれています。 この大宜都比売は、口やいろんな穴から出したものを素盞鳴尊 に食べさせたため、怒った素盞鳴尊に殺されてしまうんです。 そして、その死体からは、五穀や、蚕などが生じます。 つまり、殺神者と、被害者のコンビで祀られているのですが、 ポイントは、殺されることによって、五穀などを生じている点。 つまり、殺されることは、それがお終いを表すのではなく、五 穀を生じさせるための、儀式なのですね。きっと。 そういえば、殺されることによって、変身する話は、結構たく さん、あります。 日本では、この他に、お伽草子にある「天稚彦物語」。 大蛇の妻になった娘が、「頭をちょんぎってくれ」と蛇に頼ま れ、その通りにしたところ、蛇は見目麗しい若者=天稚彦に、 変身した・・・となっています。 グリム童話では、例えば、「蛙の王子様」。 一緒にご飯を食べることを条件に、王女様の、金の手毬を井戸 から拾った蛙が、約束を守るつもりのなかった王女様に、壁に 投げつけられちゃいます(一説では、首をちょんぎられちゃう)。 すると、その蛙は、やっぱりきらきらしい王子様に変身しちゃ うんですね。 天稚彦の方は、頼まれて首をちょんぎったんだから良いとして、 蛙の王子様は、嘘吐き王女と、よくもまぁ、結婚する気になる なぁ、と子供心に思ったものですが・・・。 野獣の妻となった美女が、死んだ野獣にキスをすると、野獣が 王子様に変身した、っていう「美女と野獣」もこの形にあては まるかも、知れません。 さてさて、変身の中でも、死体から穀物などが生じる神話は、 実は、「ハイヌウェレ型」なんて分類されてたりします。 インドネシアのセラム島、ヴェマーレ族の神話なのですが、 アメタ(暗黒という意味だそうです)という男性が、ココヤシ で切ったところから滴った血から、女の子が生まれ、ムルア・ ハイヌウェレと名づけられます。 彼女は、大便として高価なものを排泄したのですが、祭の日、 村人に殺されてしまうんです。気持ち悪がられたんですね。 悲しんだアメタは、彼女の死体を切り刻み(←このアメタの行 動は、非常に謎ですが(^^ゞ)広場のあちらこちらに埋めます。 すると・・・、そこから、さまざまな穀物・芋などが生じるん ですね。 神話や童話。物語の中で、死ぬことは、何かが始まる前兆かも 知れないのです。 現在、「神の死んでしまった時代」なんて言われます。 なにか、良いことの前兆だったら、よいですね。