kenkou

阿陀比売神社

adahime

adahime

木花咲耶比売命が火を掛けて出産したという「姫火掛けの森」




  祭  神:主神 阿陀比売命(木花咲耶比売命)
       御子 火須勢理命 火照命 彦火火出見命
  説  明:境内案内板を転載します。
      「境内社
       八坂神社 大神宮 熊野神社 春日神社 八幡神社 琴平神社
       由緒沿革
       当神社創立は、人皇第十代崇神天皇十五年と伝えられ、式内社にして、阿陀郷の
       氏神なり。
       後、神亀七年、荒廃した社殿を見て、藤原武智麻呂公、金の神幣を寄附し給ひて、
       社殿を改築せり。郷民尊崇して四時(春は三月二十日・夏は六月二十日・秋は九
       月二十日・冬は十一月二十日)の祭祀を行へり。
       就中三月二十日は、安産御祈願の日として御神徳もまた顕かなり。
       即ち、古来より安産の神として信仰深く、男子を欲する時は白、女子は赤の鈴の
       緒を腹帯として戴き、お礼に新しい布を奉納するならわしとなっている。物変り、
       星移りて、正平年中高師直来たりて吉野の行宮を犯すや、阿陀郷や紀伊の郷士等、
       此の地に防戦して勝たず、時に兵火にかかり神戸もまた横領せらる。
       のち、明徳四年郷民等之を悲歎し、当時の領主に歎願して社殿を改築し、神領を
       も申しうけたりき。降って寛正二年三月、またこれを改築。即ち現存せるものそ
       の一部なり。のち應仁年間以来氏子村々不和を生じ、追々分離、現在は原区の氏
       神として祭祀せられている。」
  住  所:奈良県五條市原町24
  電話番号:
  ひとこと:さて、この神社は、通りがかりに参拝した神社で、事前になんの知識もなかった
       のですが・・・。
       なにやら、妙〜に惹かれる伝承があります。

       平成祭礼データを少し引用してみたいと思います。
      「◎シメシカケノ森
        神社の東方の森を「シメシカケノ森」(別名比売火懸の森)と呼ばれる森があ
        る。前述の記紀のちなむ伝承である。
       ◎タケヤ・タケガイト・チモリ
        へそのおを切った竹べらを捨てた所と伝えられる。更にチモリ(血森)などお
        産にかかわる伝承が多い。」

       竹???

       木花咲耶比売命といえば、瓊々杵尊が一目惚れした絶世の美女。

       美女と竹といえば・・・。
       かぐや姫を思い出しますね。

       竹取の翁とかぐや姫伝承については、いろいろな方が研究されていますので、こ
       こでは触れません・・・というか、触れられません、知識がないんだもん(笑)

       しかし、考えてみれば、木花咲耶比売命とかぐや姫って、ちょっと似てるかもし
       れません。

       かぐや姫の話しを知らない人はいないでしょうが、簡単にお話すると、

       ある日、竹取の翁は、光竹を見つけて、不思議に思い切ってみました。
       すると、あら不思議。竹の中に小さい女の子が端然と座っているじゃあありませ
       んか。
       翁は驚きながらも女の子を家に連れて帰って育てるのですが、この子の成長の早
       いこと。
       あっという間に大人になってしまいました。
       まぁ・・・竹の生長は速いと決まってますがね。筍なんて、す〜ぐ搭が建っちゃ
       うし・・・ってなことは置いといて。

       娘は成長すると、むっちゃくちゃな美女になりました。
       そんなわけで、「なよ竹のかぐや姫」と名付けられたわけですが、噂が広まるの
       は早いもんで、あっちこっちの貴公子が、プロポーズしてきました。

       かぐや姫は結婚する気なんてありませんから、けんもほろろに断ります。

       しかし。
       五人の貴公子はことのほかしつこ・・・いや、熱心で断りきれなかった為、仏の
       御石や、ツバメの子安貝・火鼠の皮・蓬莱の玉の枝・龍の珠という、架空の宝物
       をプレゼントしてくれたら結婚したげる・・・と無理難題をふっかけたわけです。

       もちろん、そんなもん手に入るわけもなく、五人の貴公子はあの手この手で、ご
       まかそうとするのですが、もとい、真心を尽くそうとするのですが、叶わず、結
       局、姫と結婚することはできませんでした。

       ところが、そこに、思わぬ人が介在してきました。
       なんと。時の天皇です。
       天皇となったらもう、あなた、逃げられませんや。
       夫婦にはならないものの、初めて、翁以外の男性と交流が生まれました。

       そんな時、かぐや姫は、なにやら悲しそうな表情をすることが多くなって参りま
       した。

       心配した翁と媼が理由を尋ねますと、
      「私は天の人間です。わけあって地上に降りてきたのですが、この度、天から迎え
       が来ることになりました」
       と、さめざめ泣くのです。
       ・・・嬉しいと思うんですけどね、この期に及んで泣くというのは、よっぽど翁
       媼が大事にしてくれていたか、天皇に情が移りかけていたか??

       天から迎えがくる日、天皇の兵隊がかぐや姫を護衛しましたが、敵うわけがなく、
       姫は天へ戻ってしまいました。

       姫は天からの駕籠に乗り込む時、天皇へ最後の贈り物をしました。
       それは、「不死の薬」でした。

      「不死の薬」といえば、秦の始皇帝も、垂仁天皇も、とにかくいろんな為政者が何
       をおいても欲しがった妙薬なのですが・・・。

       この天皇様は違いました。
       よっぽど欲のない方なのか、よっぽどかぐや姫に一途だったか、よっぽど・・・
       ・・・・・・だったか(笑)

      「かぐや姫がおらぬのなら、こんな薬あっても仕方がない」
       と日本で一番高い山の上で焼いてしまいました。

       その山とは、「不死の山」。
       現在、富士山と呼ばれている、あの、山なんです・・・。

       ・・・異伝はいろいろあるでしょうが、よく聞くのはこんなあらすじです。

       さて、かぐや姫と、木花咲耶比売命。
       二人とも、高貴の人に恋求められてますよね。
       かぐや姫は時の天皇にプロポーズされました。
       木花咲耶比売命は瓊々杵尊にプロポーズされましたね。

       かぐや姫は天皇の求婚を断りましたし、木花咲耶比売命は、自分を疑った瓊々杵
       尊に冷たくした・・・という話しもあります。

       あと、思いつくのは、「火」との関連かなぁ。
       かぐや姫は天へ帰りますが、その時、天皇に「不死の薬」を残し、天皇はそれを
       焼いちゃってますよね。
       しかし・・・「不死」と「不治」。
       音は似てるよなぁ(笑)
       恋は不治の病といいますから、かぐや姫が天皇に渡した薬としては、後者の方が
       相応しいような気もします。

       ・・・は良いとして、そういうわけで、天皇が「不死の薬」を焼いたのは火。
       木花咲耶比売命は、お産の時産屋に火をかけました。

       んで、ここに来て思いついたのは、「富士山」との関連ですよね。
       木花咲耶比売命は富士山の女神ですから。

       ・・・あんまり似てないか(笑)

       しっか〜〜しっ!!
       しかしですね。
       かぐや姫の異伝として興味深いのは、林羅山の「本朝神社考中之四『富士山』」
       に出てくるお話です。

       これによると、翁媼の住まいは大綱村となっていまして、翁は鷹を媼は犬を飼っ
       ていたと記されています。

       二人はその後「乗馬村」に転居し、箕を作って生計をたてています。
       箕の原料は竹・・・ということで、割った竹から女の子が出てくるところは普通
       のかぐや姫と一緒。
       生まれた時は小さいけれどあっという間(十六ヶ月)で一人前に成長するところ
       も一緒。

       ただし、ここでは五人の貴公子は出てこず、いきなり天子様からのお召しがあり
       ます。

       それを聞いた姫は、富士山へと逃げ、岩窟に隠れます。
       天子様は追いかけてきて姫との目通りが叶います・・・しかも、姫は岩窟の中に
       天子を導き入れるんですね・・・。男と女が暗がりで〜二人っきりで何したんだ
       か???

       で、その後、富士山を浅間の大神と号し、翁は愛鷹明神・媼は飼犬明神と祭られ
       たのだそうで。

       こうなると、かなりいろんなことが暗喩されてるように思えます。

       まぁ、しかし、今、浅間明神というと木花咲耶比売命のことですから、この物語
       を見る限り、かぐや姫と木花咲耶比売命はかなり近しい間柄と言っても、そうそ
       うトンデモナイことはないでしょう。

       ただ・・・。
       面白いのは、構図が反対なことでしょうか。

       かぐや姫では、女性が天から降りてきて、人間の天皇と結ばれずに帰りましたが、
       木花咲耶比売命と瓊々杵尊の場合は、男性が天から降りてきて、一応は結ばれ、
       男はそのまま地上に残ってます。

       もちろん、瓊々杵尊は地上を支配すべく降りてきたのですから戻る必要はないの
       ですがね。

       天女は、天に戻るもんなんですよ、だいたいにおいて。
       羽衣女房の物語において、天女が天に戻らずに地上に永住したバージョンってあ
       るのでしょうか?
       私は聞いたことないです。

       天の男が戻った話もあります。
       天稚彦物語がそうですよね。

       つまりですね。
       天から来た男がいかなる理由にせよ地上に留まるというのは、ある意味、非常に
       特異じゃないか、と、まぁそう思うわけです。

       なぜでしょうね?

       他にも天から降りてきた男神が帰らない話しはあります。
       素盞鳴命です。
       素盞鳴命は、天照大神の不興を買い、高天原の神々に総スカンを食らったため、
       出雲へ降りてきて、ヤマタのオロチを退治し、そこに永住しました。
       
       素盞鳴命は帰らないんじゃなく、帰れなかったんですね。
       かぐや姫は罪を許されて天から迎えがきたのですが、素盞鳴命には迎えがこな
       かったんです。

       瓊々杵尊は?

       そんなことを考えると、天孫降臨の物語の事実とは・・・。
       全く違ったものにも見えるのですけれど・・・。

home 神社のトップに戻ります back