祭 神:疱瘡神 説 明:『大和の伝説』を転載します。 「奈良から桜井に通じる上街道にそって登坂町がある。この町の中ほどに青井明神 という社があるが、俗にくさ神さんと呼んでいる。 昔、小野小町が宮中で歌の競詠会があった時、全国からたくさんの歌人たちが集 まったが、だれも小町に勝つものはなかった。紀州から出て来た某は小町に負け たのを残念に思い、朝廷にざん言して、小町を宮中から追い出してしまった。小 町は途方にくれ、あちこち歩き回っている間に、瘡毒にかかり困っていると、あ る夜の夢に翁があらわれ、『前世の悪因によって、そのようになったのである。 奈良から一里(四キロメートル)はなれたところに、ホウソウ神をまつる神社が ある。そこへ詣り、一心に拝むがよい』と告げた。 小町はそこで、二十一日間、行水して祈願すると、満願の日に瘡毒はすっかりな おった。小町は、 はるさめは今ひと時にはれてゆく ここにぬぎおくおのがみのかさ の歌を残して、伊勢に去ったという」 住 所:奈良市横井2丁目299 電話番号: ひとこと:伝承が本当であれば、この社は平安時代にはあったということになりますね。 灯篭には「疱瘡神社」と記されていて、この神社の信仰が、純粋な疱瘡除け、あ るいは疱瘡治しであったことを思わせます。 ここは奈良町のはずれにあたる場所です。 疱瘡にかかった人は、街を離れた周辺あたりで、小町のように途方にくれて歩き 回ったのかもしれません。 小さな祠ですが、このまま残っていってほしいなぁ。