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市杵島神社

ichigaki




  祭  神:市杵島姫命
  説  明:素盞鳴尊と天照大神が、天安河で誓約をした時に化生した神
       様で、島に斎く女神です。
  住  所:奈良県北葛城郡當麻町八川
  電話番号:
  ひとこと:この「誓約(うけひ)」なんですが、これは、高天原にやっ
       てきた素盞鳴尊に、天照大神が、「悪事を働く気がないこと
       を示せ」と行われた誓約なのです。

       ところが、ここらへんの描かれ方は、日本書紀・古事記・先
       代旧事本紀によって少しずつ違います。

       まず、日本書紀。
      「天照大神は、素盞鳴尊に、『どうやってお前の赤い心を証明
       するのだ』と問われたところ、素盞鳴尊は、『子供を生みま
       しょう。もし、私が生んだのが女だったら汚い心があると思
       ってください』と答えた。
       そこで、天照大神は、素盞鳴尊の十拳の剣を三つに折り、天
       の真名井で振りすすいで口に含み、息を吐き出すと、田心姫・
       湍津姫・市杵嶋姫が生まれた。
       次に素盞鳴尊が天照大神のみづらと五百個の御統を真名井で
       振りすすぎ、口に含み息を吐き出すと、天忍穂耳尊・天穂日
       命・天津彦根命・活津彦根命・熊野く樟日命が生まれた。
       天照大神は、三姫は、素盞鳴尊の娘。五男神は、自分の子で
       あるといわれた」
       けど、素盞鳴尊が高天原に滞在することを許すんです。
       なんのための誓約か、わかんないんですよね。
       ちなみに、「赤い心」とは「きよいこころ」と訓まれていま
       す。

       次に、古事記。
      「天照大神に、どうやって悪心のないことを示すのだ?と問わ
       れた素盞鳴尊は、『子供を生みましょう』と答えます。」
       生まれた神様は、日本書紀に同じ。
      「素盞鳴尊は、『私に悪い心がないから、私が生んだ子供は、
       か弱き女神なんです。』と、調子に乗って、乱暴三昧をしま
       した。」
       つまり、古事記では、「悪い心がなかったら、男女のどちら
       を生む」という誓いを始めにしていなかったのですね。
       そして、日本書紀とは反対に、「女神が生まれたことが、悪
       心のない印である」としています。

       さて、先代旧事本紀。
      「『子供を生みましょう。もし私の生んだ子供が女ならば、私
       の心は濁く、もし男ならば、清いでしょう』と、素盞鳴尊は
       約束しました。」
       生み方は一緒、但し、生まれた子供は、
      「素盞鳴尊の子供は、興津嶋姫・湍津嶋姫・市杵嶋姫」
      「天照大神の子供は、天穂別尊・天穂日命・天津彦根命・活津
       彦命・ひ之速日命・熊之豫樟日命」
      「天照大神は、即座に素盞鳴尊を葦原中国に追い返した」

       古事記と旧事本紀は納得いきますね。
       ちなみに、旧事本紀では、それで素盞鳴尊は逆ギレして、乱
       暴を働くことになっています。怖いですね(^^ゞ

       ただし、日本書紀の一書によりますと「三女神が、天照大神
       の娘で、五男神が素盞鳴尊の息子だから、素盞鳴尊に悪心が
       ないことが証明された」と天照大神が言った・・・と、あり
       ます。これなら納得行くのですがね・・・。
       五男神のうちの一柱・天忍穂耳命の子孫が、今の皇室である
       となっています。
       つまり、この「一書」の説で行くと、皇室の先祖は、天照大
       神ではなく、素盞鳴尊だということになっちゃうのですね。
       ということで、この説は、あまり有名ではない(というより、
       抹殺されちゃってる?)のです。

       さて、あなたなら、どの紀(もしくは記)の説が、一番尤も
       らしいと思いますか?

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