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二宮神社

kobenimiya




  祭  神:天忍穂耳尊 応神天皇
  説  明:栞によりますと、
      「当社のご祭神は、天照大御神が素盞鳴尊と剣玉を交換した制約
       の際にお生まれになった五男神の一柱で、天照大御神の御命令
       で、日本国の農作物がよく出来るように努力された神であり、
       神功皇后の三韓からの帰途、巡拝された一社で、葺合の荘の総
       氏神であります。現在、中央区の各所におまつりされている八
       幡神社は、当社の御分霊神であります。旧莵原郡生田村鎮守の
       厄除の守護神として奉斎。」
       とあります。
       天忍穂耳尊は、天孫・瓊々杵尊の父神でもあります。
  住  所:兵庫県神戸市中央区二宮町3丁目1−12
  電話番号:078−221−4786
  ひとこと:この神社も、所謂「生田神社裔神八社」のうちの一社です。
       気になるのは、葺合の荘という地名です。
       現在でも、葺合町という地名は、神戸市中央区に残っています
       が、これは、旧葺合町のうち、たくさんの新しい町が独立して
       いった中で、残った地域なのだそうです。
       昔は、熊内町・生田町・二宮町・布引町・琴ノ緒町・北本町・
       脇浜町・中尾町なども含む、かなり広い地域が葺合町と呼ばれ
       ていたようです。

       天忍穂耳尊を祭神とする、葺合の荘の氏神。
       といわれると、俄然、鵜葺草葺不合尊の名前が思い出されるで
       しょう。
       鵜葺草葺不合尊は、天忍穂耳尊の御子・瓊々杵尊の御子・火明
       命の御子です。つまり、この神社の祭神の曾孫にあたる神様な
       のですが、この神様は、母親で、海神の娘・豊玉姫が海際の産
       室で生んだ神様なのです。
       名前の由来は、産室の鵜の羽根の屋根が葺きあがる前に生まれ
       た神様という意味なのですね。
       何か関係があるのでしょうか?

       さて、この神社には「おイネ狐」についての伝説が残っていま
       すので紹介しましょう。

      「二宮神社の側に、働き者の松吉という若者がいました。
       彼は、神社境内にある稲荷さんの祠の裏には、狐が棲んでおり、
       信心深い松吉は、神社に毎日お参りすると共に、この狐のこと
       を小太郎と名づけ、とても大事にかわいがっておりました。
       ある年の稲刈りも終わった頃、松吉は、松明をつけた行列を見
       るのです。
      『なんだろう。神社の方に明りが続いているけれど。』
       松吉が目を凝らすと、なんとそれは、狐の嫁入り行列でした。
       松吉がそっと後をつけますと、その花嫁狐を迎え入れたのは、
       小太郎狐でした。

       松吉は自分のことのように喜び、お祝いに油揚げをどっさり贈
       ったのは言うまでもありません。

       丁度そのころ、松吉にも縁談が持ち上がりました。
       お勝という名前の、評判の娘で、松吉さんとはお似合いの夫婦
       になりそうでした。
       松吉さんの婚礼の日、村の人気者の松吉さんのお祝いに駆けつ
       けた村の人々が見たのは、境内に明るく灯る、松明の行列でし
       た。その行列は、花嫁を祝福するように、明るく光り、花嫁を
       迎え入れたのです。
      『はて、一体誰だろう?』と松吉さんがじっと見ておりますと、
       松明を持った一人一人のお尻には黄色い尻尾がついていたので
       す。

       さて、長い冬が終わり、狐の夫婦に子供ができました。
       そして、小さい仔狐の誕生を追いかけるように、松吉さんとお
       勝さんにも子供が生まれました。

      『これは、きっと、お稲荷さんが、小太郎とおイネを私に遣わし
       てくださり、私を護ってくださっているのだろう』
       そう考えた松吉さんは、お腹の大きなおイネ狐の姿を彫っても
       らいました。

       二宮神社の稲荷様の前にある石像が、このおイネ狐の像です。

       それからというもの、このおイネ狐に祈れば、良縁が授かり、
       おイネ狐の像のお腹をさすると安産疑いなしと、評判になり、
       ますます神社は栄えたのだそうです」

       多少アレンジは加えていますが、ざっとこんな話しです。
       何一つ曇りのない、最初から最後まで明るく優しい話しですね。

       しかし、まぁ、主人公の松吉も、その妻のお勝も、旦那の小太
       郎さえも差し置いて、自分の名前を物語に冠してしまったのが
       おイネ狐です。
       名前の「いね」が示すとおり、この狐こそが、「豊穣」のシン
       ボルだったんでしょうね。
       私達すべてが、この物語の登場人物のように、曇りなく、親切
       で、単純であれたらいいのですけれどね。

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