祭 神:下照姫命 説 明:大国主命の娘。阿治須岐詫彦根命の妹。天稚彦命の妻。 夫の天稚彦命が、高天原からの使い、鳴女に放った矢の返し矢に 倒れたことを泣き嘆いたこと。 そして、葬儀の場で、天稚彦命と間違われ、怒って飛び立った、 阿治須岐詫彦根命が誰であるかを歌って知らせたということ。 そんなことから、葬儀の場で嘆き悲しむことにより、死者の魂を 呼び返そうとする役目を果たす、シャーマン的な姫ではなかった のでしょうか。 住 所:奈良県御所市長柄宮 電話番号: ひとこと:例えば、国の元主の葬儀のシーンをテレビで見ていて、お国柄に よって、違うものだ・・・と思います。 日本の象徴が崩御された時の葬儀の参列は、静かに悲しみながら 元主の死を悼んでいました。 「王子と乞食」のビデオを見ていたら、国王崩御の途端、「新国王 万歳!」と叫んでいました。このお話の舞台はイギリスです(作 者・マーク=トゥエインは、アメリカ人ですが)ね。 北朝鮮の元主崩御の時の葬儀の参列は、大きな身振りで嘆き悲し んでいました。 文化の違いなんだと思います。 また、転生・復活を信じているかどうか?などの宗教感の違いも あるでしょう。一概にはいえません。 下照姫は、そう。 夫の死に、大きな身振りで嘆き悲しみます。 勿論哀しいですね。夫が亡くなったんですから。 ただ、夫と間違われた実の兄が怒って飛び立った後、夫と間違わ れた人間が誰であるか、を歌って知らせる・・・ということに違 和感を感じるでしょう? 先ほどまで、涙に掻き暮れていた女性が、歌を歌う(哀しい歌に せよ)ということに。 嘆くこと・歌を歌うこと。 それは、死者の魂を呼び返す為の儀式であったのではないかと言 う説があります。 「下照姫(シタテルヒメ)と、シャーマンの関連があるかも?」と、 言い出したのは、夫ですが。 下照姫が嘆くことによって、亡くなった天稚彦とそっくりな、阿 治須岐詫彦根命が現れたこと。そして、その後、下照姫が歌って、 彼の神が誰であるかを知らしめたこと。 それは、下照姫が嘆くというシャーマン的儀式により、死者の魂 を呼び戻したということの神話的表現なのではないでしょうか? もし、そうでなくとも、夫の死をこれほどまでに悲しむ女神とし て描かれている、下照姫命に、共感と同情を覚える人は多いでし ょう。