祭 神:主神 少彦名命(通称 恵比須さま) 配神 大名持命(通称 大黒さま) 説 明:栞によりますと、 「御創建:斉衡三年(西暦856年) 御神徳: 少彦名命は医薬の術の祖神で、酒を造る醸造の神、そして海上 安全・豊漁・学問の神でもあります。 大名持命は、大国主命とも称し、商売繁盛・福徳円満・縁結び・ 五穀豊穣の神として尊崇されています。 社格: 平安初期の『文徳天皇実録』によれば、(約一千百年前)に官 社となり、延喜の制には『明神大社』に列せられました。 明治十八年以来終戦までは、『国幣中社』として毎年三回の大 祭には皇室から幣帛料が供進されておりました。 社名の由来: 当神社の面する広汎にわたっての岩石群は南に約四十五度に傾 斜して列なっていますが、その内の一部のみ反対の北に傾いた 箇所があります。 その様相から『逆列』の地名が生まれ、お酒の神様を祀るとこ ろをとって、『酒列』となりました。 彫刻: 拝殿の向拝『ブドウとリス』の彫刻は『懸魚』の彫刻(防火の 意味)といって三百五十年前に左甚五郎が日光東照宮の彫刻を 終えて飛騨に帰る途中当社に参拝し、彫ったものです。 この下にある龍の彫刻は、江戸の名工・初代梅輔の彫りで、約 二百年前のもので一本の欅を用いて彫られております。」 とあります。 住 所:茨城県ひたちなか市磯崎町4607−2 電話番号:029−265−8220 ひとこと:この神社は、大洗磯前神社と創始の年を一にしていますし、ご 祭神の顔ぶれも同じ。 場所もともに、「磯前」ですね。 関連の深さがわかります。 ただ、思いついたことのほとんどは、大洗磯前神社の紹介に書 いてしまったので、この神社はちょっと違うところを見てみま す。 懸魚ってのが、なんか、興味をそそってしまったので、ちょっ と調べてみましょう。 懸魚(げぎょ)ってのは、いわゆる屋根の合わさった部分。 ∧ってなってる部分ですね。ここに水のものである所の「魚」 の飾りをつけることで、防火のまじないとしていたようです。 つまり、左甚五郎は、魚に、リスとブドウを彫刻したわけです ね。う〜〜〜む。シュールかもぉ?? それに、リスの好物って、ナッツ類っていうイメージがあるか らか、かわいい動物と、その好物という取り合わせとも、考え にくいような。 名匠・左甚五郎がこの二つを選んだのはなぜでしょう? 不思議だわ〜〜っ!! ・・・・・ところが。 葡萄と栗鼠の取り合わせの意匠って、結構多いみたいです。 その意匠には、「葡萄栗鼠」っていう名称までついているよう で、不思議でもなんでもないんですね。 で、その意匠のココロは。 葡萄も栗鼠も子沢山。 だから、「多産・多福」の象徴だ、という説明あり。 葡萄畑でよく栗鼠を見かけたからだ、という説明あり。 葡萄=武道 栗鼠=律する に通じるため、武士に好まれた、との説明あり。 とにかく、西洋で、この組み合わせは、「日本的」「エキゾチッ ク」と好評だったようです。 なるほど。 とすると、この「懸魚」は、外国人に好まれる意匠なのか。 ちなみに、なぜ、日本的か、と言うことなんですが。 西洋では、葡萄は、イエスキリストと関連づけられてますね。 ぶどう酒は、キリストの血だし、意匠としても、キリストを葡萄 の樹として描かれているものもあるようです。 一方リスは? リスは、悪魔の化身と考えられていたようです。 毛色が赤みがかってること。動きがすばやいこと。 北欧神話でも、ユグドラシルの頂に住む鷲と、根元に住む龍の間 を行き来して、お互いの悪口を吹き込む役目をしていて、あまり よい印象はないようです。 そんなことから、この両者を結び付けている日本の意匠を、「異 国情緒溢れる」と解釈されたのかも知れませんね。