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高売布神社

takamefu




  祭  神:下照比売命 天稚比古命
  説  明:境内案内板を転記します。
      「古代から祀られ平安時代の『延喜式』に記載された式内社。
       中世には多田源氏の高平地域の惣社とされ、近世には攝津麻田藩領になり藩主青
       木氏の祈願所とされた。
       拝殿上の京都宝鏡寺門跡尼より寄進された社号額には『正一位荷月大明神』と書
       かれており崇敬を集めていたが、江戸時代中頃幕府寺社奉行の命を受け延喜式内
       社を調べた儒学者並川誠所により誤りが訂正され、鳥居横に『高売布社』と刻ま
       れた新社号石が建つ。
       本殿は檜皮葺一間社流作(国重文)、永正十年(1513年)に再興上棟。草花
       を主題にした優れた彫刻装飾のある貴重な建築物。木造狛犬(国重文)は、カヤ
       の一木造で永仁五年(1297年)の墨書がある。拝殿に奉納された絵馬は保存
       状態がよく、三十六歌仙絵額、神功皇后遠征図、遷宮図など多彩である。」
  住  所:兵庫県三田市酒井字宮の脇50
  電話番号:
  ひとこと:個人的に、「荷月大明神」という神名が気になります。
      「につき」と読むのでしょうか?
       それとも、「かげつ」?「かづき」?
       どれも、「神社新報社 日本神名辞典」には記載されていませんでした。

       しかしまぁ、「稲荷」で「いなり」と読むのですから、「荷」は、「あり」と読
       むのかも?

       ・・・「ありづき」でもありませんでした(^^ゞ

       さて、この「荷」という字、「荷物」の意味しかご存知ない方が多いんじゃない
       でしょうか?

      「重荷」なんて言葉もあったりしますし、「お荷物」なんていうと邪魔な感じを、
       受けてしまいませんか?

       しかしですね、もともとこの字の成り立ちは、「荷物」とは全然違うそうなんで
       すよ。

       実はこの字は、「はすの葉」から来てるんですって。

       三省堂の「大辞海」によると、
       語義は「はす。はちす。」となっていますし、
       なりたちは、「ハスの葉。『艸』から構成され、『何』が音。」
       と説明されています。

       ですから、「荷華(かか)」というと、蓮の花のことになるわけです。

      「蓮」と「月」から連想する神名はありますか?

      「蓮」って仏教的ですもんね。
      「中将姫」を思い浮かべるくらいでしょうか?

       中将姫とは、当麻寺他、あちらこちらのお寺に伝説を残す美織姫。
        
       婦人病にかかった為、うつろ船で流されたという伝説もあったり、薬草に造詣
       が深いという伝説があったり。
       でも、一番有名なのは、蓮の茎から取った糸で曼荼羅を織り上げたということ
       でしょう。

       そんなことから、このお姫様は、「スクナヒコナ」と関係が深いんじゃないか?
       と思ってはいるのですが・・・。それは、また別の機会に(^^ゞ

       この神社のご祭神、下照姫も、
      「天(あま)なるや 弟棚機(おとたなばた)の頸(うな)がせる 
       玉の御統(みすまる)、御統に 孔玉(あなだま)はや。
       み谷(たに) 二(ふた)わたらす阿遅志貴高日子根(あぢしきたかひこね)の神そ。」
       という歌を詠んでます。
       やはり織姫と縁が深いという考え方もできますね。

       そんなことから、中将姫とどこか混同された時代もあったという可能性はあるか
       もしれません。

       さて、この神社は、ご夫婦でお祀りされています。
       ただ、配祀の「天稚比古命」は、平安時代に「天稚彦物語」などという物語が作
       られるほどの有名な神様なのに、相対的に祀っている神社は少ないようです。

       ざっと見ると、岐阜・滋賀・愛知などの中部地方。奈良・京都。それから鳥取・
       島根の山陰地方会わせてニ十数か所で祀られているのみです。

       この神社の主祭神は下照姫です。
       下照姫命については、記紀にはほとんど記述がありません。
       ただ、天稚彦の妻であること。
       兄・阿遅志貴高日子根の名を、天稚彦の遺族に明らかにしたこと。

       なのに、彼女を祀る神社は少なくありません。
       夫・天稚彦命が、有名であるのにそれほど祭祀されていないのとは、好対照だと
       いえるでしょう。

       なぜ?

       いつか、彼女の人気が高かった時代があったのかも。

       それはいつでしょう?

       彼女を祀った神社に式内社が多いことを考えると、それはかなり古い時代ではな
       かったかと思います。

       兄の阿遅志貴高日子根命や、父の大己貴命を祀っていた人々が、下照姫のことも
       祀ったのでしょうか。

       その時代の人々は、下照姫についての伝承をいろいろ知っていて、有名だったの
       かも。・・・いいなぁ。

       下照姫を祀る「高売布神社」。
       高売布(たかめふ)という言葉も不思議な響きですが、地名だったのか、ご祭神
       に縁のある名前だったのか。

       言葉というものは生き物だと言われます。
       どんどん進化していくんですね。

       最初聞いた時、な〜んかいやだ、と思った、
      「ご注文は、〜でよろしかったでしょうか?」

       ・・・、もう慣れました(^^ゞ
       10年後には、これが普通の言い回しになるかもしれません。

       それから、「御用達」。
       なんて読みますか?
       今から15年前、私が就職試験を受けたころには、
      「ごようたつ」
       なんて読んだら、多分不採用です。
       正解は「ごようたし」だったはず。

       が!
       なんてことでしょう。
       私のIMEは、
      「ごようたつ」でも、ちゃ〜んと、「ご用達」と変換してくれるじゃありませんか。

       え〜〜〜っ!!
      「ごようたつ」でいいの???

      「ごようたつ」が、認知されてきてるのかもしれません。

      「高売布」も、いつの時代か、認知されなくなった言葉なのかも。
       1500年くらい前に行ったら、普通に、
      「おかあちゃん、今日、たかめふしてや」
      「あかんがな、たかめふぃ〜から」
       と会話してたりして(笑)       

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