祭 神:大山祇命 説 明:境内案内板を転記します。 「白兎神社は古事記、日本書紀に記されている由緒の明らかな所謂『因幡の白 兎』で有名な神社である。 古事記に曰く淤岐ノ島に流された兎海の和邇を欺きて気多之前まで渡らむと せしが欺きを知りたる和邇により悉く衣服を剥がれ泣き悲しむ兎に八十神の 命もちて海塩を浴みて風に当り伏せれば前にも増して痛みはげしく、ここに 大穴牟遅神(大国主命)その兎に教へたまはく『今急くこの水門に往きて水 もて汝が身を洗ひて、水門の蒲黄を取りて敷き散らしその上に輾転てば汝が 身、本の膚の如必ず差えなむものぞ』と教へたまひき。かれ教の如せしかば、 その身もとの如くなりき。…… 日本医療の発祥の地であり古来病気傷痍に霊験あらたかな神様である。 尚、大国主命と八上姫との縁を取りもたれた(仲人された)縁結びの神様で もある。」 住 所:鳥取県鳥取市白兎592 電話番号:0857‐59‐0047 ひとこと:兎を神とする神社。 アイヌのカムイユーカラでは、兎神はイソポカムイと呼ばれます。 知里幸惠編訳岩波文庫の『アイヌ神謡集』にある「兎が自ら歌った謡『サン パヤ テレケ』を参考に、因幡の白兎譚を編み直すとこうなりましょうか。 *********** サンパヤ テレケ 二つの谷、三つの海を飛び越え飛び越え 遊びながら流され気づけば淤岐ノ島にいた。 気多に戻りたいと和邇に声をかけ 人間が和邇を一網打尽にしようとしている 助命には正確な和邇の数を把握せねばならぬ と言いました。 お人よしの和邇たちが島から陸へと並ぶと 私はその背中を数えながら飛び越え まんまと気多へと戻ったのです。 しかし油断が大敵。 つい口を滑らせて策略のことを漏らしたがため 和邇の怒りを買いました。 和邇たちは私の皮を剥ぎ 陸に捨て置いたのです。 あまりの痛さにないておりますと人間の八十神が通りがかり 海水に浸かって風に当たれと申します故 その通りにいたしますとさらにヒリヒリと痛みます。 次に通りがかったのが好男子の大穴牟遅 真水を浴びて蒲の穂を敷き詰めた上に寝転がれと教えられ その通りにいたしますと毛皮はすっかり元通りになりました。 大穴牟遅の説明により 私は八十神と大穴牟遅は八上姫に求婚することを知ったのです。 そこで私はまじないをしたので 八上姫の愛は大穴牟遅一人に注がれるようになりました だから人間たちよ 白兎をからかってひどい目に合わせれば そなたの恋は叶わぬと知りなさい 白兎を大切にするなら 私は必ずそなたの恋を応援するであろう *********** 十分ユーカラになりますね(笑) そもそも、この物語とそっくりなお話が、インドネシアにもあります。 登場するのは兎と和邇ではなく、小鹿とワニ。 小鹿は何度もワニを騙していて、毛皮を剥がれることもないのですが、島か ら陸へ渡るために数を数えるとだまして猛(海)獣を整列させるところは、 まったく同じです。 そう考えれば、この物語は南洋系の神話でしょう。 そしてもしアイヌが縄文人の末裔ならば、この物語がユーカラになってない のが不思議なくらいです(笑) この神社は縁結びのパワースポットとしてPRされているからか、境内は人で いっぱいでした。 でも、優しい雰囲気は人いきれに消されてなかったですよ(#^.^#)