石清水八幡神社
祭 神:誉田別命 足仲彦命 息長足姫命
説 明:境内案内板を転載します。
「丹生の里者、達生八幡として、里人に親しまれている当社は、社記によりま
すと、山城国久世郡(現京都府八幡市)石清水八幡宮の御分霊を、入野郷
(現白鳥町福栄)下山に御勧請し、石清水八幡宮と称し、安産の守り神として
崇敬されていましたが、社地が辺地であるので、元禄元年(1668年)九
月に現在地の大内町大谷中穂山に奉斉し、社殿を造栄し、十ケ村(現丹生地
区)の氏神として現在に到っています。
明治三年社名を石清水神社と改め同年五月郷社に列せられました。」
住 所:香川県大川郡大内町大谷417
電話番号:
ひとこと:この神社に参拝したのは、近所に「小磯」があるから。
静御前の母とされる、磯野禅尼が生まれたと伝わる地です。
そこに源氏の氏神である八幡神ですから、絶対関係あると思ったんですけど。
ちょうどお祭りとて、境内におられた氏子さんに、質問してみると、
「磯禅尼は小磯ですね。うちとは関係ないなぁ!」
と、きっぱり否定されちゃいました(^^ゞ
ただ、ここら一帯は八幡神社が多いように思えましたから、屋島の戦いの際、
義経たちが勧請した可能性もないとも言えないような……。
なら、静御前ともつながってきます。
屋島の戦いで、小磯の人達(静御前の血縁)が助力したというのは、順当な
考えかただと思いますので。
とりあえず、無関係ではないとして、四国における静御前を、少し追いかけ
てみましょう。
母である磯野禅尼が生まれたのは「小磯」。
浜から見ると、絹島がぽっかり浮かび、なんとものどかな雰囲気。
生誕の地は、番屋川をさかのぼったところにあります。
この地の豪農だったとか。
現在でもここに隣接する地には白壁の豪邸が建っていて、村の人に道を聞くと、
「川添いの豪邸があるところですよ」
と教えてくださいました。
義経が東北へ逃げ、静御前は鎌倉へ呼びつけられます。
そこで、「しずやしず」の舞を舞ったことはあまりにも有名ですね。
義経への追慕を隠すこともしない静御前に対し、頼朝は激怒しますが、妻の政
子はあっぱれだと褒めたとか。
しかしその地で生まれた男児は敵の刃にかかり殺されてしまいます。
絶望の静が戻ってきたのがここ小磯。
長尾寺にて剃髪したとされます。
この寺から100メートルほどのところに「鼓淵」と呼ばれる場所があります。
義経千本桜などでも知られる「初音」の鼓が捨てられたとされる場所。
長尾町文化財保護協会の看板によれば、この鼓は、中国伝来のもので、紫檀の胴、
金銀の象嵌に三毛狐の皮を張り、音色の優れた名器だったとあります。
義経千本桜では、源九郎狐(忠臣佐藤忠信に化けた狐)の両親の皮で造られたこ
とになっていますね。
看板には、これは白河法王から清盛に贈られたもので、屋島の合戦の際、浪間に
漂っているのを伊勢三郎が発見。義経に献上されたのを、静に贈られたものだと
書かれています。
静御前は今生への未練を捨てるため、この鼓を捨てたということでしょう。
ここからまた少し歩いたところに、磯野禅尼最期の地があります。
静最期の地は、いわゆる「静薬師」と呼ばれる庵だとか。
鍛冶池のほとりに建つ、小さな草庵です。
多分、民俗学をかじっている人の多くが、
「ん?鍛冶?」
とおっしゃるんじゃないでしょうか。
私もです(笑)
右にあるのが静薬師にある静御前のお墓。
真ん中は鎌倉で殺された義経との子。
左は静を姉のように慕ったという侍女の琴路。
主が24歳の若さで死んだ一週間の後、琴路も鍛冶池に入水して果てました。
もう一つの静御前のお墓があるのは、願勝寺。
境内の片隅に、まさに「ひっそりと」という感じで佇んでいました。
今まで私が訪ねた静御前縁の地は、奈良県の大和高田市、京都府の網野町、
そしてここ、香川県の小磯です。
どの地のそばにも「人権会館」があったのは偶然かどうか。
私が静御前を追いかけているのは、彼女が淡島様や中将姫、神功皇后と同じ
「悲しい女性の守護神」だったろうと思うからです。
その昔、「遊女」はどのように扱われてきたのでしょう?
現代の感覚では、「悲しい女性」とするのが一般的かもしれませんが、私は
そうは思いません。
折口信夫が『水の女』に書いたように、遊女こそが、神の神秘を紐解く巫女
ではないかと考えているのです。
ただ、巫女であればこそ、「別世界の住人」だったでしょう。
でもその世界に上下関係はありません。
それがいつか、マジョリティが上位のように勘違いされるようになっていき、
相対して、マイノリティである彼女たちは「悲しい存在」とされてしまった
のでは……と。
それはシュク神を奉斎したシュクの人々も同じだと私は思っています。
傀儡師や願人、歩き巫女など、芸をしながら、そして春を売りながら、各地
を転々とした人々は、決して蔑視の対象ではなく、「別世界からの客人」で
あったのでしょう。
高級娼婦たる白拍子であった静御前に、その高貴なる姿を見る故に、追いか
けずにはいられないんですよね〜……。