生国魂神社 刀剣鍛練神事(鞴祭り)
2009年11月8日。
生国魂神社摂社・鞴神社の例祭を見学してきました。
お祭りの開始は14時です。
私たちは13時半ごろに到着しましたが、
鞴神社の前はもうすでに人だかりが。
社殿の前にはすでに準備ができています。
この神社は、大阪の街中にありながら、広い社地を守る閑静な聖地。
それだけに、人も集まり易いんでしょうね。
さて、お祭りはまず、神職さんによる祓え詞から始まります。
その後、榊により場・参加者・参列者が清められていき、
お祭りの開始となります。
そして神饌の献上。
社殿の中は暗く、あまり良くは見えませんでしたが、
大根やキャベツなどが見えます。
御神酒やお餅もあるようです。
そして次に宮司さんによる祝詞の奏上。
鞴大神に、今回参列した崇敬者の方々の安全や、
刀剣・製鉄に関する産業などの発展を願う内容のようでした。
そして、御神楽の奉奏です。
多分上手な舞い手さんなんでしょうね。
神鈴の音も涼しげで、所作も静かで綺麗でした。
最後に舞に使われた神鈴を、参列者の上で振っておられたのは、
「神鈴の授与」ということになるようです。
そして宮司さんによる玉串の奉奠。
これは神前近くに奉じられます。
続いてこのお祭りを催行するふいご講の人々や、
崇敬者による玉串の奉奠です。
これは、ふいごなどを置かれた場所よりも後ろで行われました。
そしていよいよ、鞴によるお祭り、「刀剣鍛練式」がおこなわれます。
まずは、「火入れの儀」。
神前から、神火降ろされるのですが、
神職さんが捧げ持った箱の中で炎がちらちらと揺れているのがわかります。
炎はふいご講の刀匠により、火床に移されます。
火床には炭が敷き詰められていますが、
思いのほか早く炎が上がり始めるのに驚きます。
次は「玉鋼授与の儀」
三宝に乗せられた鉄鉱石が神前から運び出され、
刀匠の手により炎の中にいれられます。
外から見た限りでは、それほどの炎と思えなくても、
場所によっては1000℃という高温になっているとか。
鞴で風が送られると、さらに炎は大きくなります。
しかし、角度的に鞴がよくわからないですね。
鞴はこんな感じ。
ハンドルを押したり引いたりするごとに、
火床に風が送りこまれるのです。
5分も待ったでしょうか。
炎の中から、赤く燃えた鉄の塊が取り出されました。
赤というよりは金色に光る固まりは、
「鉄」という言葉からイメージされる硬さではなく、
キャラメルよりも柔らかいとか。
そこに二人の刀匠が槌を振りおろします。
このとき、「トンテンカン・トンテンカン」という馴染みの音が響くのですが、
これは三人の刀匠により生みだされたリズムであることがわかります。
炎で鉄塊を焼き、取り出す役割の刀匠が、「トン」と金床を叩きます。
すると次に、一人の刀匠が6kgもあるという槌を「テン」と鉄塊に振りおろします。
そして最後の刀匠が、同じく槌を「カン」。
こうやって、「トンテンカン」が完成。
合計10回ほど繰り返された後、
鉄塊を出しいれする役目の刀匠が、「トントン」と二度鳴らします。
これは、「これが最後」の合図。
この次の「テン」「カン」が終わると、鉄塊はまた炎の中に入れられます。
本来刀を作るときには、この作業が何度も続けられ、
充分に鉄塊が伸びたら折り曲げ、
また同じ作業の繰り返します。
刀を見たことがある人ならご存知でしょう。
刀剣の刃先にギザギザ模様が浮かび上がっていますよね。
あれは、「刃紋」と呼ばれるもの。
鉄塊が鍛練される際に、何度も折り曲げるので
あのような紋様が浮かび上がるのです。
しかし、神事ではそれほど時間をかけられませんので、
鉄塊がある程度伸び広げられたら、
水をかけながら鉄の表面についた煤をとり、
水につけられます。
あっという間に黒色に変じた鉄塊は、神前に供えられます。
次いで、神職さんによる撤饌。
これで、神事はすべて終わりです。
言葉にしてしまうと、あっけないものですが、
炭火で行われる刀剣鍛練の様子は、
炎の熱と光の力も相まって、なかなかの迫力です。
製鉄は古代史を語るときに注目すべき事案です。
それがこんなに近くで見られる機会はなかなかありませんよ。
電車でも簡単にいける場所にある神社です。
時間が合えば是非、ご見学ください!!