祭 神:稲荷明神 説 明:稲荷神社は、数多ある神社の中で、八幡神社に次いで、2番目 に多いんです。 八幡神社は、武勲の神様、稲荷神社は、豊作の神様。 八幡神社が、武士の神様だとしたら、稲荷神社は農民の神様で すね。 さて、稲荷説話ってのがあります。 所謂、「餅の的」です。 豊後国風土記からひとつ紹介しましょう。 「豊国直らの祖先、菟名手が、景行天皇に国造を命じられた時、 北方から白い鳥が飛び集まり、見る間に餅と化し、さらに芋草 数千株に変じた。この芋草を天皇に献上したところ、“これぞ 豊穣を示す豊草”と喜ばれ、この地を豊国と言う様になった」 そして、山城国風土記からもひとつ、紹介します。 「昔、山城の国は広大で、肥沃であったため、この地の農民は、 食い扶持に困ることがなく、できた米を刈り入れることもせず、 放ったままであった。それが高じて、餅で的を作り矢を射たと ころ、餅の的は、白い鳥に変じて南方へと飛んで行ってしまっ た。その年から、この地は不作となった」 山城の国から、豊後の国まで飛んでいったんですね。白鳥。 山城国風土記を良くよむと、この地の長者は、伊呂具と言い、 この白鳥は、一旦山の峰に止まり、そこに稲が生った。そして 伊呂具の子供の代になり、先祖の非を悔い、稲のなったところ に建った神社(稲荷神社)の木を持ちかえり、神を祀ったとあ ります。 つまり、この白鳥は、穀霊(稲荷明神)なのでしょうね。 稲の国ニッポン。大事にしたい神様です。 住 所:和歌山市狐島 電話番号: ひとこと:狐島に、お稲荷さんってのは、なんだかあまりにもぴったりで、 思わず立ち寄ってしまいました。 が、今ふと思ったんですが、なんで白鳥が狐になってしまった んでしょう? 白い鳥と狐といえば、イソップの「きつね と つる」(ある 日、ツルは、キツネに食事の招待をされたが、出されたスープ は平皿に入っていたため、クチバシの長いツルには飲めなかっ た。それを見たキツネは、「あら、かわいそう」とツルの分ま で飲んでしまった。後日、キツネはツルに食事に招待された。 出されたお肉は、長い壷の中に入っていたためキツネには、食 べられなかった。それを見たツルは、「あ〜〜ら、かわいそう」 と、キツネの分まで食べてしまった・・・。キツネさん。お肉 皿に出して食べたらよかったのに・・・っていうお話)を思い 出すくらいなんですが、どういう繋がりがあるんでしょうね? ひとつは、稲荷明神=倉稲魂(ウカノミタマ)の別名は、御食 津神(ミケツカミ)で、「三狐神」と書くため、狐が、稲荷明 神の使い神となったというものです。 これは、私の想像です。 米を炊くのには、釜戸が必要ですね?民間信仰では、釜戸の神 様は、ひょっとこ(火男)さんです。 ひょっとこさんのくちの出た顔は、少し狐に似ていませんか? 事実、多くの稲荷社では、お祭りの時に、ひょっとこおかめの お面をかぶって踊るお祭りがある・・・。ともっともらしく書 きたいところですが、ひょっとこおかめの踊りって言うと、思 い出すのは、「御田祭り(オンダマツリ)」ですね。 ひょっとこ(男神)おかめ(女神)が、男女交合の踊りをして、 豊作を祈る神社もあるようですから。 ですから、あくまでも、私の想像ですが、ひょっとこ=狐の方 が、民間の信仰としてはあり得るように思うのです。