祭 神:火雷神 説 明:五條市のサイトから、火雷神についての説明を引用させていただきます。 「773年(宝亀4年)10月19日井上内親王が光仁天皇の姉・難波(なにわ)内親王を厭魅(えん み、呪いで天皇らを殺すこと)した罪(惑害した罪)により、大和国宇智郡(今の奈良県五條市)の 没官(ぼっかん、官職を取り上げられた人)の館、今の五條市須恵(すえ)辺りに幽閉されたが、奈 良から流される時、内親王は懐妊しており、五條市近内(ちかうち)町から西河内町、今井町を通っ て岡町を越える辺り、今の奈良カントリークラブ五条コースの辺りで男児を出産し、この男児が後に 母と兄の怨みを晴らす為、雷神となった若宮で、彼の出生の地を産屋峰(うぶやみね)と呼んでいま す。」 住 所:奈良県五條市御山町74 電話番号: ひとこと:つまり、この神社の祭神である火雷神は、生まれながらの祟り神だったということになります。 個人的には、五條市の南阿田にある姫火掛の森で木花開耶姫が出産したという伝承が気になっていま す。 木花開耶姫が出産したと伝わる土地は宮崎県にもありますが、阿田はいわゆる阿田隼人……九州の氏 族が移り住んだとされる場所ですから、同じ伝承が残っていても不思議はありません。 ただ、冤罪で五條に流罪となった井上内親王が懐妊しており、配流の途中で出産したというエピソー ドは、火の中で出産した木花開耶姫を思わせませんか? まったく無関係とも言いきれないんじゃないかな……。 だいたい、井上内親王は伝説の多い女性です。 伊勢の斎宮を退任した後に皇后となり、皇子まで産んだのに、厭魅を行ったという疑いをかけられて 五條へ流罪となる……。 あまりにも流転の人生だと思いませんか? そのうえ、配流の途中に火雷神を産み落とし、彼は母と兄の恨みを晴らすために祟り神となる。 さらに彼女とともに流された他戸親王との間にできた不義の子が、姫路城の主である刑部姫であるな んて話しまであるんですよね……。 あまりにもドラマチックすぎると思うのです。 しかし、彼女が木花開耶姫の面影を受け継いでいるのなら、それもわかる。 姉を傷つけ、自分を疑った皇祖・瓊瓊杵尊を、姫は決して許してはいなかったのかもしれません。 恨みを晴らすために、時を超え、皇室からはじき出された井上内親王と手を結び……。 なんてね(笑) 妄想が広がって困ります。 そしてもちろん私は、井上内親王と木花開耶姫の味方です!