祭 神:大巳貴命 少彦名命 天児屋根命 市杵嶋姫命 事代主命 蛭子命 説 明:境内案内板を転記します。 「『日本書記』によれば推古七年に大和地方が中心の大地震があって諸国に地震 の神が祭られた。 伊賀では当名居神社がそれであろう。 『ナイ』は地震の古語である。 江戸時代は国津大明神と稱し、比奈知川上流に散在する国津神社の惣社であ った。」 住 所:三重県名張市下比奈知2092 電話番号: ひとこと:言われてみれば、今まで、 「地震の神」に巡りあったことは、ありませんでした。 日本のように地震の多い国のこと、実際は、地震がおられたはずだとも思う んですが・・・。 常陸の鹿島・香取神宮には、要石があり、鯰(ご存知地震の元凶とされてい た魚)を抑えているという伝承がありますから、これは一つの「地震除け信 仰」と言えそうですが、それにしても、具体的に、「地震の神」は登場しま せんよね。 ただ、何かの折に、「磐が鳴動する」という伝承は、散見したように思いま す。 例えば、越木岩神社にある甑岩は、秀吉公がこの岩を切り出そうとしたとこ ろ、鶏鳴し、白煙が立ち上ったとされています。 そういえば、偶然かもしれませんが、越木岩神社の旧社名は「大国主西神社」。 大己貴命と大国主命が同一神かどうかは意見が分かれるところでしょうが、 同一としたら、大己貴命、大国主命は、地震の神として、過去に信仰されて いたのかもしれません。 また、この、名居神社の案内にある御祭神。 「大己貴命」の、「己」の字が、「巳(み・蛇)」という字になっていました。 単なる誤植だとは思うんですけど、大己貴命は蛇身で顕れることの多い神様。 偶然とは言え、面白いですね(#^.^#) しかし、考えてみれば、蛇と地震が繋がる可能性は、低くないように思いま す。 蛇は「地中に潜む者」というイメージがあるでしょうし、地震は地中の現象 ですから。 例えば、北欧のケルト民話では、世界樹であるイグドラシルの根本に、ミッ ドガルドの蛇が巻き付いていて、終末には地上に這い出てくるとされていま す。 聖書では、レビアタン(リバイアサンと言ったほうがわかり易いかも)とい う怪物が登場します。 映画「リバイサン」は鰐でしたが、イザヤ書27章によれば、レビアタンは 曲がった蛇であると書かれています。 この怪物は、ミッドガルドの蛇と同じく、終末になると地中に出てくると考 えられていたということで、イザヤ書のほか、ヨブ記・詩篇などでも言及さ れています。 終末が何によって引き起されるのかはわかりませんが、地殻変動などによる 大地震だとしたら、ここでも、蛇と地震の関係は見てとれると言えるかもし れないですね。 また、実際、地震の前触れとして、冬眠中の蛇が地上に出てくるという事例 が報告もされているようです。 古代日本において、世界はどのように成り立っていると考えられていたので しょうね。 子供の頃、インドの世界観を見て、度肝を抜かれたことがあります。 大きな亀の上に四頭の象がいて、その象が世界を背中に乗せてるんですね。 あぁ、大変。 インドは環太平洋火山帯に位置しますから、地震に対する恐れは大きかった のかもしれませんね。 すごい不安定な世界観(笑) この世界観ならば、地震は、象が「背中痒い・・・」とみじろぎしたことに より引起された、と考えるかも。 ギリシャでは、アトラスという巨人が、天が落ちてこないように支えている とされてます。 地面はガイアという女神ですが、あまり地震への恐れを感じないですよね。 ギリシャも地震は多そうに思いますが。 そんなことを考えると、大己貴命の蛇としての属性と、地震の神としての性 質は、無関係ではなさそうに思いますが、いかがでしょう。 そして・・・これは、全く違うかもしれませんが、大国主命に関しては、こ んな神話が古事記に記されています。 「(素戔鳴尊は)次には鏑矢を大野原の中に射て入れて、その矢を(大国主命 に)採らしめ、(大国主命が)その野におはいりなった時に(素戔鳴尊が) 火をもってその野を焼き囲みました。そこで(大国主命が)出る所を知らな いで困っている時に、鼠が出てきて言いますには、『内はほらほら、外はす ぶすぶ』と言いました。(鼠が)こう言いましたから(大国主命が)そこを 踏みましたところ落ち入って隠れておりました間に、火は焼けすぎました。」 つまり、大国主命は、「地中に隠れた」という伝承がある、といえないこと もない。 いえないこともない、言えないこともない!! わけです、苦しいけど。 蛇であり、兎を助け、鼠に助けられた神、大国主(大己貴)命。 その多彩な性格は、いろいろなご霊験をお持ちであるように思えますね。