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チャレンカ




  採取地域:北海道積丹郡
  ひとこと:神威岬に伝わる伝説です。
  原  典:
  登場人物:チャレンカ 源義経
  物  語:源義経は平泉で追い詰められて自害した、と言われています。

       でも、義経ほどの戦上手が、そんな簡単にやられてしまうでしょうか?
       いいえ。
       きっと、逃げ延びたに違いありません。

       それに、ちょうど同時期、平泉よりもっと北で、義経を彷彿とさせる
       戦上手が出現するじゃありませんか。
       そう、ジンギスカンです。

       そんな伝説を裏付けるかのように、この神威岬には、義経の伝説があ
       るんです。

       この岬は、航海の難所です。
       風が強い上に、ごつごつした岩がたくさん突き出ているんです。

       逃げ延びた義経公がこの岬に差し掛かった時、折りしも嵐。
       遭難しかかった義経を助けたのは、アイヌの首長でした。

       首長の娘、チャレンカは、義経を一目見て恋に落ちてしまいます。
       歴史の教科書で見た「義経像」は、一目惚れされそうではなかったの
       ですが、もしかしたら、すごいフェロモンが出てたのかもしれません。

       義経もチャレンカを愛しく思い、二人は、恋仲に。

       え?そんな安易に恋に落ちるもんか?って??

       こんな言葉を知りませんか?
      「恋において、始まるには理由はいらない。終わるには理由が必要だ」
       恋ってのは、始まりは、簡単なもんなんです。多分。
       というわけで、二人はあっけなく恋に落ちました。

       でも、義経には大望がありました。
       危険だけれど、大きな夢です。

       もっと北の大地に行き、その地を支配するのだ。
       後世、チンギスハーンと呼ばれるのだ・・・。
       と思ったかどうかは知りませんが、とにかく、

      「チャレンカをそんな危険な旅につれていく訳にはいかない」

       と思ったのか、

      「チャレンカきたら、足手まとい」

       と思ったのか。

       とにかく、義経は、チャレンカに黙って、旅立ちます。

       愛しい人の不在に鈍感ならば、「恋する女性」の資格はありません。

       チャレンカは、義経の後を追います。
       やっと、神威岬にチャレンカが辿り着いたとき、義経の乗った船は、
       海の上でした。

       チャレンカは、恨み、
      「倭人の船、婦女を乗せてここを過ぐればすなわち覆沈せん」

       と、海に身を投げます。

       ドプ〜〜ン!

       そして、彼女は岩になってしまったのでした。

       が、ちょっと待って?

       裏切ったのは義経のはずなのに、なぜ、倭人の女性に呪いをかける?

       理屈で考えるなら、答えは一つしかありません。

       伝説にはどこにも書かれていないけど、倭人の女性が義経を奪った
       んでしょうね。

       そうか。義経をめぐる、恋の鞘当が展開されたんですね。
       やっぱり、義経、フェロモンが出てたのかなぁ?

       それとも、チャレンカが倭人の女性を恨んでいたのは、もっと昔か
       らのことなのかもしれません。

       倭人とアイヌ人の確執を私は実感として知ることはできません。
       でも、案外、チャレンカを苦しませたのは、義経への思いだけじゃ
       なかったのかも知れませんね。

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