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雪の朧月夜




  採取地域:京都市
  ひとこと:
  原  典:今物語
  登場人物:殿上人 女房
  物  語:見事な朧月の雪の夜のこと。

       一人の殿上人が、御簾越しに女房と話をしていました。
       
       一方、中宮定子様の局では、枕草子で有名な、清少納言が詰めて
       おりました。

      「見事な雪と朧月」 

      「風流な月夜であることよ」

      「外がほんのり明るい。一面の雪に月が照っているのであろうか」

      「朧月には雪がやさし」

       とそれぞれ考えていたようです。

       中宮定子様は、ふと、
      「香炉峰の雪は・・・」と口ずさまれました。

       すると、心得顔の清少納言が、定子様の前にある邪魔な御簾を、
       スルスルと巻き上げたではありませんか。

       定子様は、白楽天の、
      「香鑢峰の雪は簾をかかげて看る」という歌を踏まえて、
      「御簾をあげてちょうだい」と遠まわしにおっしゃったのですね。

       機転を利かせて、即座に反応した清少納言を定子様は非常に、お
       褒めになりました。

       そして、清少納言は、この良き日のことを「枕草子」に素直に書
       き、
       紫式部に、
      「知ったかぶりのでしゃばり女!!」
       と悪口を言われました。

       一方、こちらの殿上人が、女房に対し、
      「このおぼろ月はいかがし候うべき」
       と、謎掛けをしましたところ、女房は、即座に御簾の中から、畳
       を出してきました。

       現代でいえば、「座布団を薦めた」と同じことでしょう。

      「ゆっくり御覧になっていってください」

       そういう気持ちを表現したんでしょうね。
       才知を感じる行動というわけではないかも知れないけれど、心遣
       いの細やかさを感じる行動ではありませんか。

       殿上人は、非常に嬉しくなったそうです。

       清少納言の教養と機転。
       この女房の奥ゆかしさと思いやり。

       どちらを好むかは、あなた次第。       

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