雲雀(ひばり)

hibari




  伝   説:あるところに、三人の娘を持つお父さんがいました。
        ある日、旅行をすることになったので、おみやげに何が欲しいかと
        尋ねると、
        
        長女は真珠を、次女はダイヤモンドを。
        
        そして末娘は、
       「鳴きながらぴょんぴょん跳ぶひばりが欲しい」
        という答え。
        
        お父さんは一所懸命探しましたが、雲雀だけはなかなか見つかりま
        せん。
        そしてやっと、ある庭でお目当ての鳥を見つけましたが、その途端、
        恐ろしいライオンに捉えられてしまいました。
        
       「それは俺の雲雀だ。人のものを盗る奴は食ってやる」
       
        お父さんが、必死になって事情を説明し、あやまると、獣は、
       「家に帰って一番に会ったものをくれるならば、許してやる」
        と答えました。
        
        お父さんはとても悩みましたが、ここで殺されてはどうしようもな
        いので、とにかく許してもらって家に帰りました。
        そして、お父さんが家につくと、最初に出迎えたのははたして末娘
        だったのでした。
        
        しかし、娘に事情を話すと、案外ケロリと娘はそれを承諾します。
        
        そして娘は獣のお嫁さんになりましたが、姿の恐ろしさからは考え
        られないほど大事に優しくしてくれるお婿さんだったので、娘は幸
        せでした。
        しかも、ライオンは夜になると美しい男性に姿を変えたのです。
        
        しかし、娘の実家に、ライオンと娘が里帰りをしたとき、娘の家族
        はついうっかり、「タブー」である夜のともしびをつけてしまいま
        す。
        
        途端に、ライオンは白い鳩になって飛び去ってしまいました。
        
        末娘は驚いて鳥を追いかけます。
        そしてやっと見つけたとき、ライオンは別のお嬢さんと結婚してい
        ました。
        
        ライオンは、そのお嬢さんに捕まって、不本意ながら夫婦になって
        いたのです。
        
        そこで娘は旅の途中でお月さまや太陽にもらった宝物を、そのお嬢
        さんにさし上げて、一晩だけライオンと過ごさせてくれと頼みます。
        
        ライオンは眠り薬を飲まされていましたが、何やらおかしいと気づ
        いたので、起きていましたところ、自分の大切な奥さんが入ってき
        たので、大喜び。
        
        お嬢さんの家を逃げ、そうして二人は幸せになりました。

  蛇   足:上空から、けたたましい鳴き声が聞こえてきたら、それはヒバリか
        も知れません。
        
        雲の雀と書くように、雲ほども高い空の上で、はげしく羽ばたき、
        鳴いています。
        
        ところで、グリムで「ひばり」というと、もう一つ思い浮かべる童
        話があります。
        
        それは「シンデレラ」。
        シンデレラは、意地悪なお姉さんたちから、「ひばりちゃん」と呼
        ばれていました。
        
        それは、ひばりと同時に起きて働くからという意味。
        決して、「鳴きながらぴょんぴょん跳ぶ」というわけではなさそう
        です(笑)

  参考文献等:岩波文庫「グリム童話集 3」「鳴きながらぴょんぴょん跳ぶひばり」
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