水仙(すいせん)
花 言 葉:自己愛
伝 説:ナルシスは美しい青年でしたが、それがために少し傲慢なところがあり
ました。
彼のことを恋していたエコーは、機転の利く美しい娘でしたが、彼女の
場合は、自分の機転におぼれるところがありました。
ある日、エコーは、ゼウスの浮気現場に、妻であるヘラが踏み込もうと
する現場に出くわしました。
「これは修羅場になる!」
そう直感したエコーは、ヘラに話しかけました。
その美しい髪や、賢そうな顔について、ぺらぺらと話しかけました。
ヘラは「邪魔な娘だ」と思いましたが、褒め言葉は耳に心地よく、ふと
気づくと、ゼウスは逃げてしまった後だったのです。
「この娘が、私の邪魔をして!」
怒ったヘラは、エコーの「機転」を取り上げました。
この後エコーは、人の言葉を繰り返すしかできなくなってしまったので
した。
そしてそのことは、エコーの恋がむなしく終わることをも意味しました。
自分の言葉を繰り返すことしかできないエコーを、ナルシスは愛おしい
と思えなくなったのです。
悲しんだエコーが姿を隠し、その名の通り「エコー(こだま)」になっ
た後、今度はナルシスにのろいがかかります。
他人を思いやれない男に、「自分以外愛せない」という罰がくだったの
でした。
彼はある日、泉に映る自分の姿に目をとめました。
そのあまりの美しさに……彼は身動き一つできなくなったのです。
そして、ある日、その湖を通りがかった人は、小さなかわいらしい花を
見つけました。
それが水仙。
ナルシスの生まれ変わった姿だったのです。
蛇 足:あまりにも有名な物語。
「ナルシスト」の語源は、ギリシャ神話の「ナルシス」から来ていること
は、説明するまでもないでしょう。
でも、日本古来の日本水仙は、どちらかというと控えめで、少しはにか
んでいるようには見えないでしょうか。
この水仙にまで「自己愛」の花言葉であるのは、不当な気がします。
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