花 言 葉:潔白 伝 説:梅の花を愛した賢人といえば、菅原道真公でしょう。 彼は大宰府左遷に際して、自宅の梅に呼び掛けて、歌を詠まれました。 「東風吹かば 匂いよこせよ梅の花 あるじなしとて春な忘れそ」 花に対する深い愛情を感じる歌です。 そして、梅もまた主の思いにこたえるべく、遠く太宰府まで飛んで行っ たと伝えられます。 それが、大宰府の「飛び梅」。 花と人間の美しい絆を感じるエピソードですね。 そしてその菅原道真公は、出生にいろいろな伝説があります。 ある日、菅原是善が、菅相院の南庭でくつろいでおられるとき、五・六 歳ばかりの男の子が歩いていくのをご覧になりました。 そばで観ると、容貌が驚くほどに美しく、これは只ものではないと察せ られたので、 「そなたはどういうお方ですか?なぜここにおられるのです?」 と尋ねました。 するとその子は、 「私には住む場所も、父も母もありません。菅原是善様を父親にしたいと 思います」 と答えたので、是善公は喜んで彼を歓待したのでした。 この子どもが後の菅原道真公です。 ちなみに余呉湖には、羽衣天女が人間の妻となった伝説が残っています が、天女と男の間に生まれたのが、菅原道真公であると言われています。 天に戻ってしまった母を恋しがって泣く子どもの声には、経文の響きが あったため、菅山寺真寂坊阿闍梨の尊元和尚が彼を拾い育て、そして、 後に菅原是善公の養子としたのでした。 蛇 足:菅公がなぜそこまで梅の花を愛したのか、疑問に思う余地のないほど、 可愛らしく美しい花です。 高貴な香りと、あどけなく無邪気な花びら。 なんと贅沢な花なのかと思います。 ちなみに梅の花には、「花魁」「風待草」「香散見草」「春告草」など の別名があるようで、この花がどれほど愛されてきたのかがうかがえる のではないでしょうか。 参考文献等:「神道集」 平凡社刊 貴志正造訳 「桐畠太夫縁起」 余呉町役場発行「天女伝説のふる里」より引用 情報提供者: