淡島神社 雛流し神事
2012年3月3日。
淡島神社の雛流し神事に参加してきました。
お祭りの開始は12時。
拝殿の前には船が三艘、並べられています。
太鼓の音とともに、神事の始まり。
稚児により、人形の清め祓いが行われました。
この後、参拝客も清められ、奉饌です。
これは他の神社でも行われるのと手順は同じ。
バケツリレー方式ですね。
意外だったのは、神饌に海の幸がなかったこと。
そして納得したのは、お餅が菱餅だったことでしょう(笑)
宮司さんにより祝詞が奏上された後、
願いごとが書かれた紙が登場。
「願いごとが叶いますように」
と唱えられながら、船の上に散らされます。
同じく稚児たちにより、ひな人形が船に乗せられました。
そしていよいよ出発。
海辺まで担がれていきます。
なんとなく、人形たちの表情が寂しそうに見えるのは気のせいでしょうかね(^^ゞ
桟橋に並べられた後、稚児による清め祓えです。
そして宮司さんによる祝詞奏上。
これは誰に対しての祝詞なのでしょう。
想像でしかないのですが……。
世間一般の「雛流し」は、人々の罪穢れを人形に移し、
海や川に流すことでそれを祓います。
でも、それならなぜ、同じ船に願いごとを書いた紙を乗せるんでしょう?
願いごとが清められてしまうのはおかしいですよね?
祝詞を奏上されたのは、海神に対してであるという可能性も考えられます。
淡島願人の伝承によれば、淡島さまは住吉神の奥さまですしね。
でも、これらの人形は、人々の罪を背負った形代ではなく、
人々の願いを常世へ運ぶためのメッセンジャーだと考えれば、
すべてのつじつまが合うような気がするのですが……。
いかがでしょうか?
この後船は海へ。
常世への旅路につくのです。
稚児さんと巫女さんたちは華吹雪を手向けます。
昔はこれで神事は終わりだったはずです。
でも現在は、海洋汚染の原因になるということで、この船はすぐ回収され、
陸地へ戻されるんです。
そして海岸にてお焚き上げ。
人形たちの魂は、炎にのって空高く上っていくのでしょう。
でもなぜか、物悲しく見えて仕方ありませんでした。
正直な感想を言えば、この神事は、
「神事」というよりは「観光行事」になっているように感じました。
ですから、もしかしたら、
昔ながらのしきたりが残っていない部分もあるかもしれません。
でも、私たちを楽しませてくれた人形たちの旅立ち。
興味のある方はぜひ一度、見学ください。