祭 神:櫛真命 説 明:櫛真命(くしまちのみこと)は、元の名前を、「大麻等乃知神」 という、卜占の神様です。 鎮座している天香具山は、古くから、神聖で霊力のある山として 特別に畏れ敬われていたそうで、舒明天皇が「国見」を行ったこ とも、知られています。 「国見」というのは、読んで字の如く、山の上から(自分の支配す る)国を見渡すことを言いますが、王が、国を見ることにより、 国に力を入れる・・・という呪術的な意味もあったようです。 そういう力が、天香具山にあったと思われていたのですね。 住 所:奈良県橿原市南浦町出屋敷西山 電話番号: ひとこと:「香久山は畝火ををしと 耳梨と 相あらそいき 神代より 斯くにあるらし 古昔も 然にあれこそ うつせみも 嬬(つま)を あらそふらしき」 −香久山は、畝傍山を愛しいと思い、耳成山に取られまいと争っ た。神代からこのようなことなのだ。いにしえの昔もこのような のだから、今も、妻を取り合って争うのだろう− この和歌は、香具山と耳成山を男性に、畝傍山を女性に観たて、 二つの山が畝傍山を取り合ってることを詠んだ歌です。 誰の歌だと思いますか? 読み人・中大兄皇子。 そうなのです。香具山と、耳成山とは、自分と大海人皇子のこと。 畝傍山とは、額田王のことなのでしょうね。 ただ、この場合、香具山が耳成山に畝傍山を取られまいと、頑張 っています。でも、香具山と耳成山では、香具山の方が格が上だ と考えられるんです。なぜなら、頭に「天」を戴くのは、香具山 だけですから。 そう考えると、中大兄皇子の額田王に対する恋情も、今私達が、 考える、「略奪」ではないのかも知れません。 弟に、「おまえの方が上だ」と言って、寧っている、そんな風に 思えてきます。 そうだとしたら、自分勝手で、人を人とも思わないというイメー ジの、天智天皇のイメージも変わるでしょう? ただの、恋する男ではないですか。 そうしてみて、額田王と大海人皇子の和歌のやりとりをもう一度 見てみてください。大海人皇子は、「愛しい」と言っていますが、 額田王は、「人に見られますよ」と注意はしていますが、愛しい。 とは、どこでも言っておりません。 一般に言われていることと違って、額田王は、中大兄皇子に愛さ れて、妻となって、幸せだったのかもしれませんね。