shigoto

奈良豆比古神社 翁舞




2013年10月8日、
奈良豆比古神社の翁舞を見学してきました。

7時半、薪と蝋燭に火が灯されます。
予想以上に暑い(^_^;)

hina

祭りの開始は8時。
神主を筆頭に、笛、小鼓、大鼓、地頭、
地謡、三番叟、脇、千歳、太夫が入場します。

hina


面白いのは神主。
祝詞を奏上することもなく、拝殿の前に座っておられるんです。
しかも祭りの間中、ずっと。

このお祭りでは、翁面(翁をかぶった演者)に神が降りてくるのだと思います。
神主は、それを見守る役目?
それとも、翁面に向かって何かされてたのでしょうか。
暗くて見えなかったのが残念です。

今度行くとしたら、神楽殿の前に立ち、
神主さんの様子を見学したいと思います。

舞は千歳と呼ばれる童子によるものから始まります。
その千歳が入場の際、黒い木箱に入れて捧げ持っていたのが、
太夫と呼ばれる最も位の高い翁の面。
神前で高く持ち上げたまま、しばし固まってました。

hina


千歳の舞は天下泰平と国土安穏を祝福する内容だそうですが、
声がよく聞こえると思ったら、胸にマイクがついてました(^_^;)

hina


次が本命、太夫の舞です。
介添人により着面されると立ち上がり、不思議な所作をします。
田植えの様子にも見えるし、何かを清めているようにも見える。
残念ながら、私には意味を判別できませんでした。

hina


興味深いのはこの後。
脇と呼ばれる翁が二人、舞に加わるんです。

hina

脇が準備をする間、そして戻って面をはずす間、
太夫は神前で頭を下げたまま動きません。

hina

歌詞は、萬歳楽の繰り返しのようでしたから、寿ぎの舞でしょう。
舞が終ると脇、太夫の順に退場します。

その後三番叟の舞。
コミカルだなと思ってたら、狂言師が舞う舞のようですね。

hina


そして三番叟と千歳の問答になります。
この際、三番叟が問いかけている間、千歳は神の方を向き、
反対に千歳が語っている間は三番叟が前をむいています。

hina


これは神との対話を意味していると考えられるようですね。
問答が終ると千歳は退場、三番叟による短い舞で祭りは終わりました。
先ほどと違うのは、手に鈴を持っていることでしょう。
これも意味があるんでしょうね。

hina


退場は入場と反対。
地謡、地頭、大鼓、小鼓、笛、神主と続きます。

練習は一週間程度のようで、プロとはくらべられませんが、
この翁舞は、元来、奈良豆比古神社の神前以外で舞ってはならないとされてきた、
秘伝のものです。

近年は興行もされてるようですが(^_^;)

長老……というか、保存会会長さんは、
「重要文化財となったからには、多くの方に見てもらうべき」
「とても古い祭りで、私たちはそれを残していく義務がある」
と力説してはりました。

残念ながら、もう「祭りでしか見られない舞」ではありません。
でも、珍しいことは間違いないでしょう。
興味のある方は是非。

最後に、舞が何を意味しているのか、
参考までに、WIKIを転載しておきます。

翁は、例式の 3番の演目、
つまり「父尉」「翁」「三番猿楽」(三番叟)の 3演目から成るのが本来であり
式三番とも呼ばれる。
実際には室町時代初期には「父尉」を省くのが常態となっていたが、
式ニ番とは呼ばれず、そのまま式三番と称されている。

翁(式三番)は、鎌倉時代に成立した翁猿楽の系譜を引くものであり、
古くは聖職者である呪師が演じていたものを
呪師に代って猿楽師が演じるようになったものとされている。
寺社の法会や祭礼での正式な演目をその根源とし、
今日の能はこれに続いて演じられた余興芸とも言える猿楽の能が
人気を得て発展したものである。
そのため、能楽師や狂言師によって演じられるものの、
能や狂言とは見なされない格式の高い演目である。

能との顕著な違いの一つに、面を着ける場所がある。
能においては面は舞台向かって左奥の「鏡の間」において着脱されるが、
「翁」では面は舞台上で着脱される。
また「鏡の間」への神棚設置や切り火によるお清め、
別火(演じ手の茶の用意や、鼓を乾かす為の火を、特別な取り扱いとする)などによる
舞台・演じ手の聖別も行われる。

三番叟

元々「式三番」という名称は、例式の 3番の演目という意味で、
「父尉」「翁」「三番猿楽」の 3演目を指すものであり、
室町時代初期には「父尉」を省くのが常態となっていたが、
式ニ番とは呼ばずそのままの名称が使われている。
古くは、その3番のうち 1、2番目は聖職者である呪師が演じたが、
「三番叟」は 3番目の演目であり呪師に代って猿楽師が演じ、
「三番猿楽」と呼ばれ、「三番三」とも呼ばれる。

三番叟の舞は、揉ノ段と鈴ノ段に分かれる。
前半の揉ノ段は、面を付けず、足拍子を力強く踏み、軽快・活発に舞う。
後半の鈴ノ段は、黒式尉を付け、鈴を振りながら、荘重かつ飄逸に舞う。

翁の舞が、天下泰平を祈るのに対し、三番叟の舞は五穀豊穣を寿ぐといわれ、
足拍子に農事にかかわる地固めの、鈴ノ段では種まきを思わせる所作があり、
豊作祈願の意図がうかがえる。式三番のうちでも、
翁以上に後世の芸能に影響を与えた。
歌舞伎や人形浄瑠璃などに取り入れられ、
また日本各地の民俗芸能や人形芝居のなかにも様々な形態で、
祝言の舞として残されている。
なお、三番叟の系統を引く歌舞伎舞踊や三味線音楽を「三番叟物」と言う。

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