祭 神:大己貴命 少彦名命 須勢理姫命 説 明:境内案内板を転載します。 「三瓶山=佐比賣山神社は出雲国風土記では国引き神話で登場し、悠久の歴史と神話で息吹い ている。その山名を受ける当社は式内社で創立の年歴は寛平三年(八九一)ともいわれてい るが資料はない。創立の由来は大国主命が国土経営のときに佐比賣山々麓に池を穿ち田畑を 開き農事を起し民に鋤鍬の道を教え授けられたので其の徳を仰ぎ此の里に神籬を立て祭った ものである。依って里の名を多根と言うと伝えり。」 住 所:島根県大田市三瓶町多根イ三〇五 電話番号: ひとこと:三瓶山は国引きの際、杭となった山。 つまり出雲の要だったのじゃないでしょうか。 それにしても、大国主が開拓した土地なのに、なぜ姫の名前がついているのだと思います? この山の麓には姫逃池という静かな池があり、悲しい伝説が伝わっています。 『日本の伝説』からその部分を引用しましょう。 「昔、長者ヶ原に長者がいた。そこには一人の美しい姫がいたが、彼女は村の若者と将来を誓 う仲となっていた。しかし、長者は若者が貧しい家なのを理由に二人の結婚を許さなかった。 一方、一〇キロほど離れた粕淵の野伏原(邑智町)に住む山賊の頭が姫を見染め、『ぜひ、 自分の嫁に』と足繁く通ったが、これまた長者が承知しない。ついに怒った山賊の頭は手下 をつれて家に乗り込み、乱暴の限りを尽くした。急を知った若者が『助太刀します』ととび こんできたものの、多勢に無勢、追いつめられて池のほとりで殺されてしまった。それを見 た姫も、『あなただけを死なせはしません』と池に身を投げてしまった。 何年か後、池のほとりに白と紫の杜若が三輪ほど咲き、年とともに数が増えていった。人々 は『姫の魂が花になったのだろう』と噂し、いつしかこの池を姫逃池と呼ぶようになった。 また近くの真二つになった大岩は、若者が戦ったおり、力あまって斬りつけたものと言われ ている」 いかがですか? たとえば、たとえばですよ? この伝説に登場する姫こそ佐比賣では……? そして侵略者とは、いわゆる大国主。 山賊を侵略者と言い換えればあり得ない話ではありません。 このあたりは女首長が統べていたのではないかと考えられる神社が少なからずあります。 例えば天豊足柄姫命神社の伝承を見れば、彼女が石見の女首長であったことがわかります。 侵略者に追いつめられた佐比賣の軍は姫逃池まで撤退し、そこで滅びた。 そう読めないこともありません。 若者が斬りつけた大岩は、現在「恋占いの石」と呼ばれ、小枝をこの割れ目に落として引っ かかって下に落ちなければ恋がかなうと信じられているようです。 実際にやってみましたが、ひっかからんねぇ(^^ゞ 恋がかなうのは大変だってことでしょうか(笑)