麝香揚羽(じゃこうあげは)
伝 説:姫路城にはお菊井戸と呼ばれる古びた井戸があります。
いわゆる「皿屋敷」と同様の怪談が姫路城には残っているのですが、お
菊は、「烈女」と評されていることからもわかるように、ただ美しいだ
けの女性ではなく、家臣の裏切りを暴くために、スパイとして働いたと
される雄々しく賢い女性だったようです。
家宝の皿を割ったという濡れ衣により、井戸に投げ込まれて殺されたお
菊は、毎晩井戸の中から恨めしげな声で、「一枚、二枚……」と皿を数
えたと伝えられますが、その事件があったのは、永正年間、つまり1504
年から1520年の間とされています。
それから300年近く後の、寛政7年(1795年)のこと、姫路城下では、不
思議な姿の虫が大量発生しました。
いわゆるイモムシなのですが、ちょうど後ろ手に縛られた女性のような
姿のサナギになり、恨みのこもった毒々しい蝶へと羽化するのです。
この虫は、「お菊虫」と呼ばれ、「お菊の化身」として、大切に扱われ
たようです。
蛇 足:沖縄で一番よく見掛けるのが、このチョウチョではないかと思われます。
毒々しい真っ赤な胴体が、なんとも言えず美しいような、気持ち悪いよ
うな……(^^ゞ
これは明らかに警戒色で、この虫を食べると中毒を起こすそうですが(^^ゞ
この色を見たら食べる気は失せるなぁ……。
雄の成虫には香りがあるようですが、南の国の濃厚な気配の中で、それ
はあまり目立ちませんでした。
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