日本酒 :花巴 種 類:純米大吟醸 産 地:奈良県吉野郡吉野町641286番地 醸造元:合名会社御芳野商店 日本神話:磐之姫と大鷦鷯王 原 典:日本書紀 古事記 あれこれ:綻びだらけのくせに、長い間、「大手を振って」唱えられてきた妄言に、 「男が浮気をするのは本能だ」 というものがあります。 曰く、 「男はいろんな田圃に種を撒きたい。それは本能なんだ」 しかし、こうも言えるんですよね。 「女は少しでも強い種が欲しい。それが本能なんだ」 ざっくりと言ってしまえば、 浮気・・・というか、少しでも強い(美しい・恰好いい)相手が見つか れば、そっちに乗り換えたい・・・というのは、人間の本能なんじゃな いでしょうか。 男・女の区別なく。 今まで、「女が浮気をするのは本能だ」という言葉が堂々と口にされな かったのは、20世紀半ばまで、日本にもまだ「姦通罪」などというも のが存在したということもあるでしょうし、女性が経済的に自立する事 が難しく、女性の方に離婚によるリスクが格段に高かったということも あるでしょう。 なによりも、女は嘘をつくのが上手く、男は嘘を見抜くのが下手だとい う「特性」によるんではないか、と。 というわけで、今回は「浮気」の神話です。 大鷦鷯王とは、仁徳天皇のこと。 磐之姫はその皇后です。 古代において、天皇は、複数の女性を妃にしていたようです。 まぁ、皇子がいなかったりすれば、跡目争いが激化しますからね。 平和でない時代の天皇が、複数の妻を持つことは、仕方ないといわざる を得ないように思います。 が、磐之姫はごっつい焼き餅焼きさんでした。 大鷦鷯王が、 「あのさぁ、ボクチン、もう一人奥さんが欲しいんだぁ」 なんぞと言おうもんなら、 「キッッ!!!」 とするどい眼力をかまして、夫を黙らせてしまいます。 奥さんに睨まれると、目を伏せて指をくねらせてしまう大鷦鷯王でし たが、ある日、とうとう実力行使に出ます。 なんと!! 八田皇女という若い女性を、妻にしちゃったのです。 ・・・恐い奥さんが留守中に・・・。 当然、磐之姫は怒ります。 磐之姫は、そのまま宮殿には戻らず、山城は筒城岡に定住してしまい ました。 驚いたのは、大鷦鷯王です。 慌てて使者をやりましたが、磐之姫は戻りません。 何度も使者に伝言をさせましたが、磐之姫は戻りません。 今度は自分で訪問しましたが、磐之姫は会おうともしませんでした。 大鷦鷯王は、多いに恨み、 ・・・そして、磐之姫が亡くなると、八田皇女を正式に皇后としたの でした。 なんじゃそりゃ?? まぁ、それは表面に見える話で、二人だけの間ではいろいろあったの でしょう。 実際、宮殿を離れるにあたって、磐之姫が詠んだ歌は、夫を恋しく懐 かしく慕う歌ばかりですし、 大鷦鷯王が磐之姫に詠み掛けた歌も、真摯で哀切なものなのです。 私は、「浮気は男の本能でもあり、女の本能でもある」と言いました。 また、「一人の人間しか愛せない」なんていうのは、これまた迷信だ と思ってます。 愛とか恋とかをどう定義するかによりますが、 例えば、旦那とペットの犬が、二人して、崖から落ちそうになってて、 「助けてくれ!」 「キャウワンアン!」 と叫ばれたとしたら、 私は、旦那には、 「自分であがってきてや!」 と叫んで、先に犬を助けてしまうかもしれません。 まぁ、それは、 「旦那なら自分で上ってこれるやろ」 という「信頼」があるかもしれませんが・・・。 正直なところ、旦那とわんこのどっちを愛してるのか? と聞かれたら、自分ではようわかりません。 「異性間の愛と、動物への愛は、質が違うやろ」 といわれるかもしれませんが、 私がテレビや映画を見て、 「ひゃ〜〜レオ様、うつくし〜、きれ〜、ぴぎゃ〜〜〜」 と思う感覚は、異性間の愛とは全く違うんですかね? 質は似たようなもんじゃないですか? ただ、「二人の間になんらかの関係が出来る可能性」が極端に低いと いうだけで。 そうすると、「男女の関係の中ではぐくまれる信頼」やら、「情愛」 やらが生れてくることがない・・・というだけで。 とっかかりとしては、ほぼ同じような質なんじゃないかと思います。 反対に言えば、もし、万が一、何かまかり間違って、テレビや映画の スターとなんらかの関係が生れてしまえば、それは、「男女間の愛」 と成り得るわけで。 それならば、パートナーがいながら、テレビや映画の中のスターさん のファンであり続ける、ということは、既に、「複数の愛」が存在し ていることの証左となる、と考える次第であります。 ということで、浮気なんてのは、ある意味、当然のこと。 ・・・人間を、単に、「哺乳類のうちのある属・ある種」である、と だけ定義した場合は。 しかしまぁ、人間が「誇りも愛情をも持ちえる知的生命体」である、 と思いたいなら、話は別ですよね、ね? 結局、所謂男女間の愛と呼ばれるものの要素の中で、一番重要なのは、 「相手を唯一無二のパートナーとして大事にする」 ということなんじゃないか、と思うわけです。 よく、 「浮気と本気は違う。彼(女)のことは浮気で、君のことは本気」 とかなんとかいうワケのわからない理屈を耳にしますが、 そ〜〜〜ゆ〜〜〜想像力のないことを言う奴は、つまり、 「大事なパートナーを悲しませて平気な鈍感野郎」 である、ということなわけです。 ・・・なんてことを言うと、 「バレてないから大丈夫」 などとお逃げになりますが・・・。 おうんこでも召し上がれっ!!! あんたはバレてないと思ってても、パートナーは疑い、苦しみ、悩ん でるかもしらんでしょうが。 つまり、どっちにしても、パートナーを悲しませ、苦しませて平気で、 深みのないパ〜タレ。 ・・・ということです・・・ と・・・過去の自分への反省を篭めて・・・はい・・・。 その上にまだ、 「だって、自分のパートナーは、浮気してもいいよって言ってくれるも ん」 などと言い募るやからもおられますが・・・。 ・・・1年ほど滝に打たれてこいや(-"-)・・・ いろんな方がおられますから、浮気をされても平気という方が絶対い ない!!とは言いませんけれどね・・・言いませんが・・・。 まぁ、とりあえずは、向かい合って、相手の瞳の奥を覗き込んでみる ことをお勧めします。 本当に、パートナーの瞳の中に、悲しみの閃きが走らないか。 それを確かめてから、「浮気してもいいって言ってるもん」などと、 口を尖らせていただきたい。 さて、 しかし、先持って申しましたが、大鷦鷯王は、この国の天皇でした。 その当時の習慣として、複数の妻を持つことは、不自然なことではな かったでしょう。 大鷦鷯王の心の中に、 「ボクのパパだって、いっぱい奥さんがいたのに、ボクのママは、その ことを我慢してたのに!! ボクの奥さんは、なんで我慢しないんだ!!」 という敗者の屁理屈的な鬱憤があったのかもしれません。 そしてしかし、人の心のあり様は、今も昔もそうそう変わらないでし ょう。 そんなわけで、磐之姫と大鷦鷯王の恋は、悲しい結末を迎えてしまう のですね。 さてさて。 私は、 「男女のことに他人が口出しするもんでねぇ」 と思っております。 誰が浮気してよ〜が、パートナー泣かせてようが、自分が泣いてよう が、あんまし興味ないしど〜でもいいんですが・・・。 このお酒は、甘さの中に、ちょっと厳しい苦さのある、 「浮気とその後悔」 のようなお酒です。 大鷦鷯王のように、パートナーが永遠に自分の元を去ってしまってか ら、慌てても遅うございます。 このお酒で、「擬似浮気」を体験して、自分を納得させておいてはい かがでしょうか。 後悔だけはしないようにしましょうよ、ね(^^ゞ